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絵解き謎解き 江戸のそば猪口 [著]岸間健貪

[評者]

[掲載]2012年12月09日

[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

表紙画像

 著者は江戸期のそば猪口(ちょく)の文様に魅せられて三十数年になる。「桜花散らし」「千鳥舞う海」「滝越しの松」……。多くの収集品のなかから293点を選び、写真と達者なエッセーで、江戸の人々がさまざまな文様にこめた思いに迫る。
 文様の意味がわからなくなりつつあるという。たとえば「蝶(ちょう)とトンボ」と呼ばれる文様がある。羽が2枚で頭がとんがったトンボなどいるものか、と著者は疑問をもち、やがて鳥だと気づく。曽我兄弟のあだ討ちを題材にした歌舞伎で、兄の十郎は千鳥、弟の五郎は蝶の文様の衣装と定まっているのを踏まえた「蝶と千鳥」の文様だったのだ。こんな逸話が興味深い。
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 ブックハウス・エイチディ・2100円

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