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中原淳一 美と抒情 [著]高橋洋一

[評者]出久根達郎(作家)

[掲載]2013年01月13日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■戦後の若者文化に「ひまわり」

 今年は中原淳一の生誕百年である。二月十六日、香川県に生まれた。
 この人を語る時、少女画家、ファッションデザイナーの顔が強調されるけど、業績はそれだけではない。十九歳で個展を開き注目された創作人形が彼の出発点である。本の装幀(そうてい)、シャンソンの作詞、手工芸家、演出家、スタイリスト、女優・浅丘ルリ子の発掘者、何より、「ひまわり」「それいゆ」他の雑誌主宰者としての編集センスである。
 リンゴの唄で戦後の活気が始まったように、中原の雑誌で若者文化が花開いた。モンペやズボンで戦時下を過ごしてきた少女たちに、ズボンの裾を広げさせた。リフォームの仕方を教えた。服装に限らぬ。工夫一つで変化する室内装飾や小物。美しくなるためのおしゃれは教養だ、と雑誌の執筆者には各界の第一人者を揃(そろ)えた。少女誌に黒沢明、渋沢龍彦、三島由紀夫らである。誌名通り、大輪の明るい花が開いた。本書は中原の入門書、偉業の分析はこれからだろう。
    ◇
 講談社・2520円

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