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織田信長 [著]池上裕子

[評者]

[掲載]2013年02月03日

[ジャンル]歴史

表紙画像

 本能寺の変がなかったら、天下統一は早くに成就したのではないか。日本史上有数の関心を集めるだろうこの「もし」に、著者は「はたしてそうだろうか」と疑問を投げかける。たとえば、織田信長は征服を狙う地の武士を利用しても、目的を達成すれば使い捨て、経営は譜代家臣に委ねた。戦争の目的は領国拡大にあり、武士階級の統合を目指したとは言い難い、と。事実、謀反と抵抗に悩まされた生涯であった。著者は史料を丹念に検証し、旧体制の破壊者、革新者といった織田信長のイメージを一つひとつはぎ取っていく。発給文書の内容から、領主は見ても百姓や村とは向き合わない「農政・民政がない」支配者であった、というように。
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 吉川弘文館・2415円



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