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核兵器と原発―日本が抱える「核」のジレンマ [著]鈴木達治郎

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2018年02月11日

[ジャンル]政治

表紙画像

 日本は〈核〉とは深い関係にある。世界唯一の被爆国。第五福竜丸事件。そして福島原発事故。一方で核兵器禁止条約には不参加、原発を減らす気配もなく、プルトニウム処理の見通しも立たない。これら、〈核〉をめぐって矛盾だらけの日本の状況と背景を、本書は明晰(めいせき)に読み解く。
 著者によれば、エネルギー源としても軍事抑止力としても、〈核〉は時代遅れになりつつある。廃棄物処理や事故補償を考えると原発はコスト高で、世界的に衰退傾向。核保有国が主張する核抑止力外交も、北朝鮮を見れば明らかなようにもはや機能していない。
 それらに代わる方向性として、再生可能エネルギーや市民外交などが世界の潮流なのだが、日本は大きく取り残されてしまったようだ。福島事故から何も学んでいないからだ、というのが著者の見立てである。
 なんだか絶望感が漂うが、著者らが提唱する理想的かつ現実的な諸提言には一条の光明を見る思いがする。

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