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【ブックマちゃん】カズオ・イシグロ『クララとお日さま』でおしゃべり ロボット目線の友情小説

(写真左から)あくにゃん、めがねちゃん、すあまちゃん

>【ブックマちゃん】カズオ・イシグロ『クララとお日さま』の回を動画で見る

ロボットらしくないロボット

すあま:はじまりました。ブックマちゃん! 今回ご紹介するのはカズオ・イシグロの『クララとお日さま』です。

あくにゃん:めっちゃ有名な方だよね。

すあま:そう、(2017年に)ノーベル文学賞を受賞された方。今回はそのカズオ・イシグロさんの最新作。要約して言うと、お店で自分の気に入った「AF」っていうロボットをみんな買って、その子と一緒に過ごすっていう世界なんですよ。「AF」のクララっていうロボットの女の子と、ジョジーっていう女の子の友情物語なんです。それがクララ視点で描かれてるのね。

めがね:淡々としてそう。

すあま:そう。そうなっちゃうと思うんだけど、ここで描かれているロボットはすごく人間に近い存在だから、ちゃんと気持ちがあるの。「ちょっと無愛想な人」くらいのイメージ。あんまり人に興味ない人っているじゃん。

めがね:(あくにゃんを指さす)

すあま:めがねちゃんが今めちゃくちゃ悲しくても、「あ、めがねちゃん今、悲しいんだ」だけの人の感じ。ロボットなんだけどロボットらしくない雰囲気が、すごく新鮮で。

人間は人間を信頼していない

あくにゃん:ロボットのディティールはどんな感じなの?

すあま:もう見た目は人間。皮膚の質感とか動きとかは違うんだけど、ほぼ人間。クララは、フランス人の見た目をしてるの。

めがね:Siriみたいな話し方しないの? 「わかりました、オススメの音楽を提供します」みたいな。

すあま:もう普通に流暢にしゃべるし、自分の頭脳があるから、自分で考えてしゃべるの。それでも人間ほど言葉が豊かではないんだけどね。

あくにゃん:ロボットの話でよくあるのがさ、「ロボット成長物語」みたいなのあるじゃん。心を持たないロボットがどんどん吸収していく、AI的な学習能力の話じゃないの?

めがね:『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』みたいなやつでしょ。

すあま:じゃないの! 最初からちゃんとあるの、心が。感情とか人間に寄り添えるように、絶対的な性善説でできてる。自分に悪意を向けてくる人がいても、その人のことを良くとらえようとするのね。そのロボットの視点で人間を見ると、「あ、人間って人間のこと信頼してないんだな」っていうのがすごくよく分かったの。ロボットを通して「人間ってこういうものなんだな」っていうのが分かる。ロボットって冷たいイメージあるじゃん。その印象が覆されるし、ロボットだからこそのあたたかさというのが、今までにない価値観だと思って。

めがね:意思はあるけど偏見はない、ってこと?

すあま:うん、そうだね。先入観もないから。

ロボットは人間になれる?

すあま:この作品は「ロボットと人間の少女の友情を描いた感動作」と書いてあるんだけども、果たして感動作と取っていいのか? というのは思って。ジョジーは病気なんだけど、もし亡くなった時に、クララがジョジーのことを分析し続けたらジョジー自身になれちゃう、って言う人がいるのね。人間を人間たらしめてるものって何? 個性っていうものは存在しないのか。そこを考えるとすごく怖くて。今AIがどんどん発達していて、人間とこれからどう付き合っていくのか、っていう話はよく聞くけど、それを考えさせられた。

あくにゃん:そういうさ、注目が集まってる題材をカズオ・イシグロがどう扱っているかは気になった。

すあま:ロボットがどんどん頭良くなっていくことを驚異としてとらえている人がいっぱいいると思うんだけど、それをあたたかさを残したまま描いている人ってあんまりいないと思いますし、それがカズオ・イシグロさんのテイストだなと思って。新しい価値観を感じさせてくれる作品でした。