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「どーん、じゃんけんぽん!」ほか子どもにオススメの3冊 おなじみの遊びが大冒険に

「どーん、じゃんけんぽん!」

 「どーん、じゃんけんやろう!」。かんちゃんとゆいちゃんは公園で大好きな遊びをはじめました。短い丸太が立ち並ぶ上を、二手に分かれてそれぞれの端から進みます。出会ったらじゃんけん。勝ったほうが道をゆずり、さきに反対側に行ったほうが勝ち。落ちないように慎重に、でも急いで進んでいくと、前からやってくるのはゆいちゃんのはず。それなのに……。かんちゃんの目の前にあらわれるのはなぜか、ゆいちゃんではなくいろいろな動物たち。みんないっしょに遊びたいんだねと、かんちゃんは動物たちとのじゃんけんを勝ち進め、どんどん反対側にむかいます。

 なんてことのない日常の遊びの中で、子どもたちはうらやましいくらいの大冒険をしているのですね。地域によって呼び方はいろいろでしょうが、きっとだれもがやったことのある、子どもたちにはおなじみのハラハラドキドキ陣地取り遊び。思わず「もういっかい!」といいたくなる中毒性があります。絵本を読んだらなんだかムズムズ。やってみたくなること間違いなし!(ひがしちから作、世界文化社、1540円、4歳から)【丸善丸の内本店児童書担当 兼森理恵さん】

「行く手、はるかなれど ―グスタフ・ヴァーサ物語―」

 16世紀初め、スウェーデンはデンマークの支配下で苦しんでいた。囚(とら)われの身となっていた若者、グスタフ・ヴァーサは、デンマークを脱出し、自国の独立を目指して立ち上がる。家族を失い、友に裏切られながらも、味方をしてくれる人々の助けと、故郷の自然のすばらしさに守られ、ひとり、旅を続けるが……。

 スウェーデン児童文学翻訳の第一人者である作者が心をこめて紡いだという意欲作。自らの人生を一途な思いで切り拓(ひら)いていく若者の姿に胸が熱くなる。(菱木晃子(ひしきあきらこ)作、徳間書店、1650円、中学生から)【ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん】

「ソリアを森へ マレーグマを救ったチャーンの物語」

 野生動物の保護活動をしている若い女性チャーンは、ある日、保護されたマレーグマの赤ちゃんと出会う。チャーンは、この子グマにソリアという名をつけ、育て、訓練する。大きくなって森に帰ったら、ソリアが自力で餌をとったり身を守ったりしながら暮らせるように。作者、画家ともにベトナム人の手になるグラフィックノベル。自然保護活動家でもある作者の実体験に基づいた物語は、起伏に富んでいておもしろく、はらはらさせられる。野生動物や自然環境の保全についても考えるきっかけをもらえる。(チャン・グエン作、ジート・ズーン絵、杉田七重訳、鈴木出版、1870円、小学校低学年から)【翻訳家 さくまゆみこさん】

ぎょうざが行方不明!?妄想の楽しさ味わう絵本

 街の防災無線からアナウンスが流れる。〈ぎょうざが いなくなり さがしています。とくちょうは ひだが 5つある ひとくちサイズの やきぎょうざです〉

 「ぎょうざが いなくなり さがしています」(講談社)は、豊かな妄想が広がる絵本だ。アナウンスを聞いて驚いた男の子は、ぎょうざがいなくなった理由を考える。水ぎょうざとけんかしてお店を飛び出し、ぎょうざのふるさとに帰ったのかな。春巻きになる旅に出たのかも。「やきぎょうざなんて やってられないよ」と居酒屋で愚痴っていたりして……。

 講談社絵本新人賞を受賞し、昨夏刊行。2万5千部のベストセラーになっている。作者の玉田美知子さんは、「妄想、想像する楽しさを感じてもらいたい」と話す。

 本格的に絵本作りを始めたのは5年ほど前だ。以来、自宅でも家族と絵本のネタについて話す機会が増えた。「ぎょうざが逃げたらおもしろいんじゃない?」というのも、家族のアイデアだった。

 次作についても想像し始めている。「近所の人や友人からも『こんな絵本を描いたらどう?』と、次のアイデアが集まってきています」(田中瞳子)=朝日新聞2024年3月30日掲載