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江戸文化再考―これからの近代を創るために  [著]中野三敏

[評者]

[掲載]2012年07月29日

[ジャンル]歴史

表紙画像

 「近代の芽」として評価できる部分だけをつまみ上げる、従来の近代主義的な見方をやめて、江戸の人と直接話をするつもりで江戸を眺めよう。品格を重んずる「雅」と、人間味のある「俗」の文化が共存しつつ、次第に「俗」の割合が増える流れが見えてくる。文化のピークは元禄と文化文政ではなく中期の18世紀であり、儒学の中心は朱子学より陽明学だ、と著者はいう。
 約150万点ある明治以前の書物のうち、活字になっているのは1%に満たない。だから、変体仮名と草書体の漢字が読める「和本リテラシーの回復」を、との持論になるのだが、講演記録ということもあって読みやすく、時代の大きな見取り図を手に入れた感じがする。
    ◇
笠間書院・1785円

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