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『ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画』を手引きに美術館へ

記事:平凡社

《背を向けた若い女性のいる室内》 ハマスホイの絵画には、後ろ姿の女性が多く描かれている。(本書より転載)
《背を向けた若い女性のいる室内》 ハマスホイの絵画には、後ろ姿の女性が多く描かれている。(本書より転載)

 1月21日から東京都美術館、4月7日から山口県立美術館で、「北欧のフェルメール」とも謳われる、デンマークが生んだ孤高の画家・ハマスホイの展覧会が開催されます。

 ハマスホイの展覧会は2008年にも東京・国立西洋美術館で開催されており、大きな話題となりました。当時は「ハンマースホイ」という表記で日本に紹介されたため、その名で記憶している方も多いかもしれません。

 本書の監修者であり著者の佐藤直樹さんは、2008年の「ハマスホイ展」を監修し、画家の魅力を日本に伝えた第一人者です。当時の展覧会の盛り上がりを本書「はじめに」このように綴っています。

当時、日本では誰もハマスホイの名前を知らなかったが、近年のフェルメール人気にもあやかって、単館開催であったにもかかわらず 17万人を超える入場者数を記録している。展覧会カタログも売り切れてしまい長く絶版となっているが、再び日本語のハマスホイの書籍が刊行されることとなり素直に喜ばしい。当時の展覧会を見られなかった方にも、本書でハマスホイの静寂なる世界に浸っていただきたい。(コロナ・ブックス『ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画』「はじめに」より抜粋)

左はハマスホイの代表作《手紙を読むイーダ》。右下はフェルメールが描いた《手紙を読む青衣の女性》。(本書より転載)
左はハマスホイの代表作《手紙を読むイーダ》。右下はフェルメールが描いた《手紙を読む青衣の女性》。(本書より転載)

 「北欧のフェルメール」と呼ばれるハマスホイ。本書では、ハマスホイの代表作とフェルメール作品の構図を比較するなど、美術史の観点から、画家独自の作風を解説。さまざまな観点から作品の背景と魅力を伝えます。

 

《リネゴーオンの大ホール》 「誰もいない室内画」もハマスホイが描き続けたテーマ。その静寂な世界は鑑賞者を圧倒させる。(本書より転載)
《リネゴーオンの大ホール》 「誰もいない室内画」もハマスホイが描き続けたテーマ。その静寂な世界は鑑賞者を圧倒させる。(本書より転載)

なぜ私が少ない色で、しかも抑えられた色調を使うかって? それは私もわからない。この問題について何か答えるというのは、私には本当に不可能だ。それは私には全く普通のことなので、なぜか、という問いには何も言えない。しかし、私が初めて展示したとき以来、いずれにせよそうなんだ。おそらく、私の使う色は、ニュートラルとか制限された色彩とか呼ぶことができるかもしれない。私は真にそう思うのだけれど、絵というものは色が少なければ少ないほど色彩的な意味において最高の効果をもつのではないか―ハマスホイの言葉、1907年
(コロナ・ブックス『ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画』より引用)

 鑑賞者の心を打つ独特の色彩について、画家自身は上記のような言葉を残しているそうです。なぜ後ろ向き女性ばかりを描いたのか? なぜ謎めいた室内画を書き続けたのか? ぜひ「ハマスホイ展」に足を運んでいただき、謎満ちた画家の沈黙の世界を堪能してみてはいかがでしょうか? 本書を手引きに作品を鑑賞することで、作品への理解はさらに深まることでしょう。

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