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『1年生になったら紙の辞書を与えなさい』 子どもに紙の辞書を使わせた方がいい理由

記事:大和書房

『1年生になったら紙の辞書を与えなさい』(大和書房)
『1年生になったら紙の辞書を与えなさい』(大和書房)

全教科に必要な「国語力」が高まる!

 小学校の全授業の中で、どの教科に一番時間が割かれているかをご存じですか? それは、「国語」。これは、「国語力」を高めることこそが小学校での学びで最重要だと位置づけられていることにほかなりません。では、なぜ「国語力」が大事なのでしょうか?それは、他教科の学習においても「国語力」がなければ、正確な理解をすることができないから。さらに、多くの教科で記述式の問題が増えていることから考えても、子どもの「学力」を下支えするのは「国語力」であるといえます。

 本書で紹介している「辞書引き」は、著者が開発し、25年にわたり指導を続けているメソッドです。ここでは、具体的なその効果を紹介したいと思います。以下は、「辞書引き」をしている子、「辞書引き」をしていない子を比較した調査結果です。

☑国語学力が10ポイント以上高くなる
☑語彙力検定の理解度が約2倍になる
☑半年の読書量が128%にアップ

 このように、明らかな「国語力アップ」を実現できるのが「辞書引き」です。著者は、この「辞書引き」の効果を最大限に引き出すためにも、1年生から紙の辞書を使うことを推奨しています。

「辞書引き」ってどうやるの?

 では、その「辞書引き」はどうやるのか? ここでは、その第一段階についてご紹介したいと思います。まずは、小学生用の辞書と付せんを準備します。付せんには上の方に通し番号を振っておきます。子どもに辞書を渡したら、まずは次のようなステップで始めてみてください。

<1> 辞書を眺める(見出し語をざっと読む)
<2> 「知ってる!」という言葉を付せんに書き込み、その付せんを辞書の上端に並べてつける
<3> 「知ってる!」という言葉を自分の言葉として説明させる

 「知らない言葉」を辞書で引いていくんじゃないの? と思われた方もいるでしょう。 むしろ、最初から「知らない言葉を調べさせる」ということは「辞書引き」では避けたいことです。

 子どもは、自分が全然知らない言葉に対してはあまり興味をひかれません。それよりも、「知ってる!」という言葉の方を喜んで探して見つけて、付せんをどんどん貼っていきます。

子どもが自分で喜んで辞書を引くようになる

 「知っている言葉」を探すなんて、子どもには退屈だと思われるでしょうか? ですが、その心配はご無用です。子どもたちはびっくりするほど、「辞書引き」にのめりこんでいきます。付せんの数が多い=知っている言葉が多い、すなわち賢いという視点に立った子どもは自分がたくさんの言葉を知っていると証明しようとします。そして、付せんの数が500枚にも到達する頃には、大きな達成感と共に「自分って大したものだ」という自己肯定感も得られるようになります。こういった活動の中で、辞書を引いていると「知っていると思っていた言葉が実は違う意味だった」という経験もします。そういったことを重ねていく中で「知っている言葉でも、念のために調べておこう」という主体的な学習態度を持つようになっていくのです。

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