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四季にあわせて体の力が働き出す健康法 『季節をめぐる気功』

記事:春秋社

台湾・日月潭(©NPO法人気功協会)
台湾・日月潭(©NPO法人気功協会)

気功とは何か

 気功というとたいへん難しい、習得するのに時間のかかるもののように思うかもしれません。しかし、NPO法人気功協会運営責任者である天野泰司氏の提案する気功は、ひじょうにやさしいものです。そして、重要なポイントもはっきりしています。まずは、気功とは何かを本書から引用しましょう。

 気功で一番大切なことは、心身をゆるめること。
 力を抜いて、楽で自然な姿勢を探し、わずかに微笑むと、心がだんだんくつろいでいきます。
 この本を持ったまま、少しゆっくり呼吸をして、ただ息の出入りを感じてみましょう。
 ふーっと息を吐くと、体はさらにゆるみ、すーっと気持ちよい息が入ってきます。
 そのまましばらく、呼吸を感じていきます。
 わずか十呼吸ほどの間に、自然に息が深くなり、体の疲れが抜けて、心が楽になっていくのを感じていただけるでしょう。
 気功は、何か特別なことをするのではなく、できるだけ何もしないで、自然に還っていくレッスンです。(本書2ページ)

夏の注意点

 夏は気温も高いので、身体の代謝もあがって循環もよくなります。汗もたくさんかいて体内の毒も排出され、腎臓の負担も減って腰が楽になります。呼吸して、動き、汗を適度にかいて、しっかり眠ることが夏の元気につながります。

 しかし、汗をかくことに注意が必要。皆がついつい忘れがちで、体調を崩してしまうのは、汗を冷やして、体に再吸収されてしまうことなのです。その部分を見てみましょう。

 汗をかくことはとても大切。
 同時に、汗を冷やさないことも大切です。
 汗は、暑い時の体温調整・心身をゆるめる疲労調整・有害物質の排泄の三つの主な機能があります。
 汗をかくとスッキリするのですが、冷やして皮膚から再吸収されてしまうと、体がひどく鈍り、だるい、息苦しい、頭が痛い、疲れがたまる、喉が痛いなど本来必要のない様々な症状が現れてきます。そのことを「汗の内攻」と言い、夏場の不調の大部分がその影響です。
 夏は、出た汗を冷やさないように気をつけましょう。首の汗を冷やすことが多いので、てぬぐいやタオルを常備して、いつでも首の汗をふけるように。クーラーの効いた電車やバスに乗る時は特に注意します。特に後ろから風を受けると影響が大きいので、スカーフを巻くなどして首を守ってください。寝汗をかいて明け方に冷えることもあります。さらっとしたガーゼのてぬぐいなどを首にかけておくとよいでしょう。
 汗を冷やしてしまった時は、すぐに温めてください。その部分にしばらく手をあてていると、再吸収された汗がじんわりと出てくるので、しっかりふき取ります。お湯をかけてしぼったタオルで温め、ひと段落して落ち着いた感じがしたら、乾いたタオルで汗や蒸気をふき取ると確実です。(本書82ページ)

夏の気功とてあて

 それでは、夏に最適の気功とは何でしょうか。胸を広げる、大股で歩く、前後のふりこ、左右のふりこ、お腹をなでる、足首のてあて、があります。吉田純子さんの柔らかで優しい墨絵で、その動きを解説していますので、そのページを見てみましょう。

本書84-85ページ
本書84-85ページ

 たとえば、「前後のふりこ」はどういうものかというと、次の通りです。

 楽に立って、心地よくリラックス。
 「腕のストン」をして、ぶらぶらっと腕が揺れたら、そのまま前後に楽に腕を振ります。
 肩や腕の力を抜いて、できるだけ小さな力で、自然にゆれるように。
 視線は遠く広く。
 だんだんに小さくなって、ゆっくり止まります。
……
 「ふりこ」は力を抜いて楽に動く基本練習。力が抜ければ抜けるほど、動きは楽でスムーズになり、楽に動く習慣ができると、暑い中でも体を動かしやすくなります。前後の動きは呼吸を、左右の動きはお腹をそれぞれ楽にしてくれます。(本書86ページ)

 このように、とても簡単で、誰でもいつでも始められるのが気功の特徴です。新型コロナウイルスだけでなく、季節の病気にも負けない心と身体を、無理なく自然に、気持ちよく、気功で養ってみるのはいかがでしょうか。

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