バラエティ豊かな世界のゲーム、歴史やルールなど解説 自分で作って遊んでみよう!
記事:朝倉書店
記事:朝倉書店
紹介しているのは、すごろくとか、かるたとか、五目並べとか、チンチロリンとか、要するにああいうものです。
商品として開発されたのではなく、あくまで日々の暮らしと文化の中でおのずから形成され、歴史を経て成立していった遊び。
その遊びの中でも明確な「ルール」と「勝敗」を備えたものを本書では「伝統ゲーム」と呼び、日本中、また世界中にある数々の伝統ゲームの中から、242種を解説しています。
収録したゲームはその基本的な仕組みによって「盤のゲーム」「札のゲーム」など十のカテゴリに分類されており、さらにそれぞれの中で「日本のゲーム」と「世界のゲーム」に分けて並べられています。
例えば以下のような感じです。
盤のゲーム:本双六、ウゴルキ、将棋、チャトランガ…
札のゲーム:百人一首、ドミノ、ウィチュール…
賽子のゲーム:チンチロリン、ジャックポット、センテニアル…
動作のゲーム:投扇興、野球拳、サルボ…
運動のゲーム:蹴鞠、バンノック…
言語のゲーム:段駄羅、ディクショナリー…
飲食のゲーム:闘茶…
誰でも知っているようなものもあれば、名前も聞いたことがないような珍しいものも、多数掲載されています!
この本を一読すると、世界各地のゲームのバラエティの豊かさと同時に、「似たゲーム」の多さに驚かされます。
例えば盤上に追う側と逃げる側の駒を配置し、互いに駒を動かして追う側は相手を動けなくすれば勝ち、逃げる側は逃げ切れば勝ち、という構造のゲーム(日本では「十六むさし」が有名)はインドにも、カンボジアにも、北米にも、アイルランドにも同工異曲のものがあります。
欧米の「バックギャモン」と飛鳥時代から伝わる日本の「盤双六」は極めてよく似ていますが、これは古代エジプトで生まれた原型が西と東にそれぞれ伝播した結果だそうです。
ゲームとは元を辿れば日々の生活の中のある局面を「楽しい」と感じた、その楽しさを抽象し結晶化しようとしたものなのでしょう。
娯楽を追求する人の精神の普遍性を感じさせてくれます。
ゲームのルールをできるだけ具体的に記載し、「実際に遊んでみる」ことができるようになっている点もこの本の特徴です。
おうちで盤やコマを手作りして、知らない外国のゲームにチャレンジするのも楽しそうです。
また小学校や図書館、自治体などで子どもたちに遊びを教える際の「ネタ帳」として使うこともできます。
※付録として掲載されている、汎用のコマ・サイコロ・マス目盤・スコアシートは朝倉書店ホームページからダウンロードも出来ます。ご自由にプリントアウトしてお使いください。
九〇年代にカルト的人気を博した『たほいや』という深夜番組がありました。
この「たほいや」は、元々欧米にあった「ディクショナリー」というゲームを日本式に翻案したものなのですが、この翻案を行ったのが著者の高橋浩徳先生である、といえば、本書に盛り込まれたゲームへの造詣と愛とユーモアの深さがご想像いただけるのではないでしょうか。