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かつてない「木」の本、第二弾 『板目・柾目・木口がわかる 木の図鑑』

101樹種の木口写真を原寸大で掲載した“世界初”の一冊
101樹種の木口写真を原寸大で掲載した“世界初”の一冊

 2016年に『種類・特徴から材質・用途までわかる 樹木と木材の図鑑――日本の有用種101』(創元社)を上梓した。この本では、立ち木(葉、樹皮を含む)、板材見本、木が使われているもの(建築物、家具、道具など)の写真と簡潔な解説を掲載している。おかげさまで、今までにない木の本ということで、版を重ねていった。

今までになかったコンセプトを追求

 しばらくして、担当編集者から「続編はできませんか」との相談を受ける。同じ内容で掲載樹種数を増やすのは、かなりきびしい。そこで思いついたのが、木口を原寸大写真で載せた本だった。さらに、材も1つの木について、板目材と柾目材の2種類を並べて紹介しようと。過去に木口を掲載している本がないか探してみたところ、原寸大の木口面の写真を数多く掲載した日本語の本は見当たらなかった。洋書の図鑑で、板目、柾目、木口を並べて見せているものはあったが、木口の写真は一部を切り取ったものだった。

 世界初の原寸大木口面写真を100以上掲載する本。これはインパクトがありそうだ。だが、きれいに磨いた木口面を撮影するにはどうすればいいか。『原色 木材加工面がわかる樹種事典』共著者の河村寿昌さん(挽物の木工家)に相談したところ、「木口面をロクロで挽く」という案が出た。ロクロ挽きなら、材の表面はかなりきれいに仕上がる。ただし、直径の大きな材を挽くのは、機械の関係で難しいという問題があった。そこで、何とかしてくださるだろうという期待を込めて、ベテラン木工家の井崎正治さんに相談する。「まあ何とかできるだろう」と研磨作業について快諾を得た。

苦労した木材集めと写真撮影

 木口面の撮影は、丸太を5~8センチ程度の厚みに切ったものを井崎さんの工房塩津村にすべて集めて、一気に撮影することにした。まず、掲載樹種候補を150ほど挙げてから、人脈をフルに生かして、全国各地の木材会社や造材業者に声を掛ける。スギやミズナラなどのメジャーな木は入手しやすいが、ヤマグルマ(広葉樹だが道管がない)のような特殊な木はなかなか見つからない。稀少な木については、木材市場には出ないような珍しい材を取り扱っている、三重の武田誠さん(武田製材・ビーバーハウス)に尽力してもらった。

 工房塩津村に集まった輪切り材は、1樹種で数枚入手したものもあり、200枚を超えた。木口面には、チェーンソーなどの刃の跡が残っていた。工房で修業中の塾生4名にも手伝ってもらい、電動グラインダーなどで研磨作業に取り掛かる。直径の大きい材については、井崎さんが、自ら開発した木口研磨用の機械を用いて磨いてくださった。研磨の終わった材を、工房の片隅で渡部健五カメラマンに撮影してもらう。これで、ようやく木口面の写真を撮り終えたと思ったのだが、後日、撮影データを確認すると、刃物の跡が残っているものがいくつかある。それらは、入念に研磨した後に再撮影を行った。

 輪切り材だけではなく、1樹種につき板目と柾目の材をそろえるのも苦労した。これらについても、木材会社、銘木店、木工家、木のコレクターの皆さんのおかげで、ほぼすべての材を撮影することができた。

チームプレーによって生まれた「合作」

 今まで上梓したどの本でも、さまざまな分野の方々のご協力を得てきた。その中でも、今回の『板目・柾目・木口がわかる 木の図鑑』は、特に数多くの皆さんにお世話になった。出来上がった本を見ると、実に感慨深い。読者の皆さんに、少しでも参考にしていただければと思う。

 

*本書の内容は、創元社のYouTubeチャンネルにてご視聴いただけます。

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