1. じんぶん堂TOP
  2. 文化・芸術
  3. 牧彩子×樽井美帆「まるごと語ろう! タカラヅカ!!」――『魅力まるごとタカラヅカ!!』刊行記念トークイベント(前編)

牧彩子×樽井美帆「まるごと語ろう! タカラヅカ!!」――『魅力まるごとタカラヅカ!!』刊行記念トークイベント(前編)

記事:平凡社

『魅力まるごとタカラヅカ!!』を手にする著者の牧彩子さん(左)とエフエム宝塚「レビュー・ステイション」パーソナリティーの樽井美帆さん(右)
『魅力まるごとタカラヅカ!!』を手にする著者の牧彩子さん(左)とエフエム宝塚「レビュー・ステイション」パーソナリティーの樽井美帆さん(右)

『魅力まるごとタカラヅカ!! 宝塚歌劇ガイドブック』(牧彩子著、平凡社刊)
『魅力まるごとタカラヅカ!! 宝塚歌劇ガイドブック』(牧彩子著、平凡社刊)

チョンパで始まった宝塚歌劇との運命の出会い

牧彩子:牧彩子と申します。宝塚歌劇のファンになって約22年経ちます。 宝塚歌劇が好きすぎて、本まで出しちゃっています。

 初観劇は2003年の『花の宝塚風土記/シニョール ドン・ファン』(月組)でした。祖母のお友達が当時の月組トップスター紫吹淳さんを応援していらして、「リカちゃん(紫吹淳の愛称)、見てあげて♡」って。 和物ショーだったので、いきなりチョンパ(*)で始まって衝撃でした。フィナーレは、 後ろ姿で背のあたりに赤いバラの花を持った、黒燕尾姿の紫吹淳さんで始まるのがすごくキレイで好きだったのを覚えています。 

樽井美帆:私は2004年の4月にスタートしたエフエム宝塚の番組「レビュー・ステイション」のパーソナリティーをしております。

 私の初観劇は1歳ぐらいの時に母の膝の上でだったそうなんですが、当然ながら記憶がなくて。大学生になって宝塚ファミリーランドでアルバイトをしているときに、劇場の客席案内係をすることになって担当した紫苑ゆうさんの退団公演『カサノヴァ・夢のかたみ/ラ・カンタータ』(1994星組)でしたね。 客席に座っての観劇は、月組の『CAN-CAN(カンカン)/マンハッタン不夜城』(1996)でした。

 牧さんは初観劇からどうやってハマっていかれたんですか?

牧:どハマリしたのは2004年の花組公演『アプローズ・タカラヅカ!』です。宝塚で働きたい!!って思って、大学を卒業してすぐに宝塚大劇場内にあった展示施設「プチミュージアム」のスタッフとして働くことになったんです。

 そこで働いているときに、作品の印象的なシーンを装置からタカラジェンヌさんまで全部描いて立体にするという、舞台再現模型というのを作っていて。

2013年月組『ベルサイユのばら――オスカルとアンドレ編』の舞台模型
2013年月組『ベルサイユのばら――オスカルとアンドレ編』の舞台模型

 いい舞台に出会うと、すぐに「描きたい!」って思うんです。『エスペラント!』(2025星組)のプロローグとか、今すぐ描きたいし、模型にして自分の手元に置きたい(笑)。

 2年半ほど「プチミュージアム」で働いて、フリーランスになってからも2013年まで模型のお仕事は続き、宝塚愛は醒めないまま、書籍や情報誌、お菓子のパッケージなどに宝塚歌劇のイラストを描かせていただいたりして、今に至ります。

タカラジェンヌに恋する瞬間

樽井:これまでに好きになったタカラジェンヌはどなたですか?

牧:本のプロフィールにも書いているのですが、OGでは霧矢大夢さん(元月組トップスター)と望海風斗さん(元雪組トップスター)、現役では鳳月杏さん(月組トップスター)と礼華はるさん(月組男役スター)です。

 初観劇のときに霧矢さんが気になっていたのですが、紫吹淳さんの退団公演『薔薇の封印』(2003)を観て、やっぱり霧矢さんが好きだなって。それで月組公演を観ていたら、『STUDIO 54』(2010)で「脚の長いスタイルのいい人がいるぞ」って鳳月杏さんを見つけて好きになって。花組の『復活』(2012)というロシアを舞台にした作品では、お芝居の冒頭で花道から歌いながら出てきた望海さんの歌声に惚れて。ひとりに絞れよ、って感じなんですが、珠城りょうさん(月組元トップスター)の退団公演のショー『Dream Chaser』(2021)で花道の礼華はるさんにニコっとされて「あれ、好きかもしれない……?」となって、礼華さんが主演を務めた『桜嵐記』(2021)の新人公演で沼に入りました(笑)。

樽井:私が最初に好きになった方は、轟悠さん(元雪組トップスター、元宝塚歌劇団特別顧問)ですね。『虹のナターシャ』(1996雪組)で、学ランを着た高校生役で好きになって。儚かったり、破滅したりする役が似合って、踊っている時も眉間にしわを寄せてちょっと苦しそうにしている、そういう方に惹かれる傾向があります。和希そらさん(元雪組男役スター)や柚香光さん(元花組トップスター)も好きでした。

牧:私はちょい渋で、陰りも表現できるような方や声に魅力のある方が大好きですね。

 ちなみに、ついついやってしまうのが、「どのタカラジェンヌと入団同期」になるかの妄想ですね(笑)。私は中卒で入団していたら元星組トップスターの柚希礼音さんと同期で、『再会/ノバ・ボサ・ノバ』(1999雪組)が初舞台なんです。高卒だったら、なんと望海さんと同期なんですよ。望海さんは当時朝が弱かったから、寮で「あやちゃん、起きて」って言ってたかもしれない(笑)。

樽井:同期妄想はついやってしまいますよね。

牧:望海さんの初舞台は、私が初観劇した『花の宝塚風土記/シニョール ドン・ファン』なんですよ。望海さんが退団する時に、青いバラを手に、紫吹淳さんと同じポージングで登場されたのを見て、初観劇時のことが巡り巡ってつながった!と思いました。 

*チョンパ……真っ暗な中、拍子木の音が「チョン」と鳴り、パッ!と照明が点く演出方法。和物ショーの幕開けに多い。

《後編につづく》2025年9月2日公開予定

ページトップに戻る

じんぶん堂は、「人文書」の魅力を伝える
出版社と朝日新聞社の共同プロジェクトです。
「じんぶん堂」とは 加盟社一覧へ