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あなたの「座右の銘」を『エセー』の中から見つけよう! 久保田剛史・編、宮下志朗・訳『モンテーニュの言葉 人生を豊かにする365の名言』

記事:白水社

 デカルト、パスカル、ニーチェなど、後世の思想家たちに多大な影響を与えた、フランス・ルネサンス期の思索と経験の書『エセー』。

 随筆という意味での「エッセイ」の出発点であり、数々の名句が散りばめられた知識人の教養書としても知られる。

 いつかは挑戦してみたい古典の名著ではあっても、その分量(全三巻107章、白水社版で全7冊、2000ページ超!)に尻込みしてしまう読者も多いだろう。

 でも心配ご無用。

 『エセー』を気軽に味わうための格好の案内図となる一冊がある。『モンテーニュの言葉 人生を豊かにする365の名言』だ。

 「仕事について」「名声について」「結婚について」「夫婦について」「快楽について」「老いについて」……テーマごとに印象深い名言が厳選されており、テーマを眺めるだけでもモンテーニュの関心が身近で日常的な、我々人間にとって普遍的・根源的な問いであることがよくわかる。

 「名言篇(へん)」に続く巻末の「要約篇」では、『エセー』全章の内容もコンパクトにまとめられていてとても便利。

モンテーニュの名言

「われわれを幸福にするのは、所有ではなく、享受なのだ」──第一巻 第42章「われわれのあいだの個人差について」(『エセー2』)
「よい結婚が少ないという事実そのものが、それがどれほど貴重で、価値あることかを物語っている」 ──第三巻 第5章「ウェルギリウスの詩句について」(『エセー6』)
「もしも無知を治したいのならば、無知を告白する必要がある」 ──第三巻 第11章「足の悪い人について」(『エセー7』)

「われわれは死ぬことを心配するせいで、生きることを乱しているし、生きることを心配するせいで、死ぬことを乱している」  ──第三巻 第12章「容貌について」(『エセー7』)
「財産の貧しさを治すのは簡単だけれど、精神の貧しさを治瘉するのは不可能だ」 ──第三巻 第10章「自分の意志を節約することについて」(『エセー7』)
「ちくっと刺すもののほうが、心地よいものよりも、心にふれるし、しっかり目覚めさせてくれる」 ──第三巻 第8章「話し合いの方法について」(『エセー6』)

【第一部「名言篇」より】

モンテーニュの座右の銘「Que sais-je?(わたしは何を知っているのか?)」を冠したクセジュの原書
モンテーニュの座右の銘「Que sais-je?(わたしは何を知っているのか?)」を冠したクセジュの原書

 一日一名言で、『エセー』があなたの「人生の書」となるだろう。

 『エセー』に正しい読み方などない。

 気に入ったフレーズが見つかったら、そのフレーズが含まれた『エセー』の章をランダムに読んでみればよい。

 どこからでも気になったところを好きなように読んで構わないのだ。

 ちなみに、世に知られる『エセー』の名言は、第三巻から引かれていることが圧倒的に多いので、『エセー』に直接チャレンジするなら、まずは第三巻(白水社版宮下志朗訳『エセー6』『エセー7』)から始めるのをオススメする。

 宮下志朗氏による新訳の軽妙さにも、親しみが増すこと間違いないだろう。

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