コロナで加速する生きにくさ YouTuberでもある精神科医が教える、ストレスから心を守る方法
記事:大和書房
記事:大和書房
不健康な食生活や習慣、というのが存在するように、不健康な考え方や認知、というものも存在します。
不健康な習慣を続けていると体に悪影響が出てくるように、不健康な考え方を続けていると心に悪影響が出てきます。
ただ、体への影響は症状や検査である程度客観的にわかるため、早めに対処できますが、心への影響は目に見える部分が少なく、悪化したとしても「もっと頑張らないと」「甘えていちゃダメだ」と考えてしまい、適切なブレーキがかけられないことがあります。
だからこそ不健康な考え方と、その結果出てくる影響をあらかじめ知っておき、早めに対処することが重要です。
会社という組織に所属していると、どうしてもいろいろな仕事が降ってきますよね。なかには自分じゃなくてもできると思われる仕事や、明らかに自分のキャパシティを超える仕事、確実に今必要じゃないだろ! という仕事もあります。
そんなとき、とっさに「できません」って言えればラクだけれど、その一言がなかなか出せない……そのために苦しんでいる人も多いのではないでしょうか。
もちろん、無茶振りをしてくる相手が悪いのですが、自身も考え方と対応を変えたら、今より負担を減らせるかもしれません。
まずは考え方を変える方法から。何かしら仕事を振られたときに、つい「できる」「できない」のどちらかで考えてしまっていませんか?
しかし、実際の仕事はおそらくもう少し複雑で、「できるけど時間がかかる」「できないことはないけどやりたくない」「やりたいけど今の自分一人じゃできない」などいろいろなパターンがあると思います。
したがって何かしら仕事を振られたときには、「できる」「できない」の二択で考えるのではなく、その仕事に対する心理的な評価(どの程度取り組みたいか)と物理的な見通し(どの程度時間がかかり、どのくらい達成できるか)などをシミュレーションするようにしましょう。
それができれば、「できません」と答える必要はなく、「私はその分野には自信がないのでサポートする人をつけてくれれば」「手伝いはしますけど時間をください」など、より具体的な提案ができるようになります。
もしすぐに具体的な理由が思いつかなければ、いったん時間を稼ぐために、「ごめんなさい、一回検討させてください」と伝えてもいいでしょう。
その後、考えてみてやっぱり嫌だったら断ればいいですし、やってみてもよければ引き受けましょう。その場でストレートに断るのではなくいったん時間を置く、というのは大事なテクニックのひとつですよ。
話しかけると、「何だ!?」と高圧的な上司。こういう人はなぜかいつも不機嫌そうで、話しかけづらいオーラを放っていますよね。
声をかけるときにも、傷つくことを言われるのではないかとビクビクしてしまって、言葉も慎重に選ばざるを得ない。想像しただけでもイヤな気分になりますね。
ハッキリ言ってしまうと、こういう人がまわりから指摘されて自らの意思で変わる、というのはほぼ不可能なので、「変わってほしい」と願うのはあきらめましょう。
おそらくこれまでの人生で誰も指摘をしてくれなかった、もしくは指摘されても変わろうと思わなかったのでしょう。その状態で年齢を重ねてしまったのですから、上司が自分で気づいて変わるということはまずありえないでしょう。
相手の態度に萎縮してしまうのは仕方がないです。むしろ「なんでこの人、いつも不機嫌なのかな。人としての器が小さいんだろうな」と心のなかで受け流すことが自分の気持ちを少しでもラクにする方法といえるでしょう。
さらにいうと、こうした特徴をもつ人は自分の優位性をわりやすく周囲に誇示するために、部下など自分より立場が下の人や言い返す可能性の低い人に高圧的な態度を取ろうとします。
相手が反応し萎縮するほどエスカレートしやすいので、毅然とした態度を示し、なるべくリアクションを取らないことも相手の態度を悪化させないために重要です。