不安な時代、周囲に翻弄されずに軽やかに生きるための知恵とは
記事:大和書房
記事:大和書房
朝起きて見て、電車の中で見て、休憩時間に見て、ごはん食べながらもちょっと見て、寝る前にも見て……。スマホがどれだけ頭の中を膨大な量の情報で埋め尽くしているかは一度知ってみるといいかもしれない。地図が見られない、路線検索ができない、LINEの返事ができないなど抵抗があるかもしれないが、週末の数時間だけでもやってみるのはどうだろうか。情報に頭を埋め尽くされない、静かな時間、久しぶりに味わえるはず。
外出自粛になり、飲み会が減ったと言われた時期も通りすぎ、いまはZOOM飲み会などが浸透し、違った形での人との交流が定着しつつある。生き方や価値観が見直されているいまのようなタイミングだからこそ、どんな人とつながりたいのか、これからもつながっていきたいのかを再確認する機会にもなるはず。今まで付き合いで渋々参加していた集まりや飲み会があるなら、これを機に断ってみるというのもひとつ。そして、断ってしまったらなぜ「用事がある」など嘘をついて断ったのか、その人との関係は健康的なものなのかどうか、見つめ直すいい機会にしたい。
不安な世界と距離をとるために、著者が続けていることのひとつが「感情のスクリーニング」。これは、自分が言動を起こすときにネガティブな感情に突き動かされていないかどうかを点検する、というもの。例えば、友人に見せたいがために高価な腕時計を買おうとしているならそれは虚栄心に突き動かされていると言えるし、自分より成績のいい同僚に有益な情報をあえて話さずに隠していようと思うならそこには嫉妬や劣等感があるかもしれない。著者はそういうネガティブな心の動きに気づいたら、一度行動に移すのをやめてみるという。これを続けていることで、「ネガティブな気持ちで行動している人の存在のうるささ」に気がつくようになったのだとか。なんだか圧を感じて心地よくない、正論を言っているようだけどうさんくさい感じがする……感情のスクリーニングを続けていると、ただ不安になるのではない、冷静な目線が手に入る。
書籍の終わりで著者はこう綴る。「不安とうまく付き合えるようになったあとにどうすればいいのか、は書いていません。というのも、これがいちばん大切なことですが、人は不安をなくすために生きているわけではないからです」。ここだけは、正解がない、各自が自分でみつけ、育てていくしかない部分。でも、不安がなければ、どんなことでもできるのであれば……この先あなたは何をしたいだろうか? 混迷の時代を生きている私たちに、実体験から紡ぎ出された著者の言葉はこの先のヒントを授けてくれるはずだ。