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めくって楽しむ、しかけ絵本『宇宙のすがたを科学する』

記事:創元社

宇宙を見る

 何千年、何万年にもわたって、あらゆる大陸に暮らす人々は空をじっと見つめては、この宇宙の姿を説明しようとしてきました。宇宙は丸い、いや果てしないとか、宇宙は実はちっぽけだ、いやとてつもなく巨大だとか、哲学者はいろいろに思い描いています。物理学者や数学者は頭をひねって、さまざまな理論をつくり上げました。天文学者が観察のための道具を工夫したおかげで、理論による予想のあるものは正しいと確かめられ、そうでないものは退けられています。世紀を重ねるにつれて、私たちは驚くほど正確に宇宙の姿を理解できるようになりました。そして私たちの知る宇宙は絶えず拡大を続けています。

宇宙の形を想像する
 宇宙はどんな形をしているのか――想像することは誰にでもできます。神話や宗教の中に、そんな素晴らしい例がいくつも見つかりますが、科学の歴史の中でも多くの宇宙像が描かれてきました。宇宙を理解するためには、科学者にも想像力が欠かせません。科学者の想像はひらめき、理論、そして観測にもとづいたものでなくてはなりません。想像力を使えば、いろいろな姿が見えてきます。立方体の宇宙、花の形をした宇宙、多元宇宙……。

宇宙についての理論
 科学者は自然の秘密を解き明かそうとするとき、どこでも当てはまる説明、つきつめるなら「普遍的な法則」を探し求めます。たとえばニュートンが発表した万有引力の法則なら、月がなぜ地球のまわりを回るのかを説明してくれます。ある理論によって宇宙の見方が確固としたものになり、観測結果もその思考の枠組みによって読み解かれるようになります。

宇宙の観測
 他の科学者から認められるためには、理論は実験や観察によって検証されなくてはなりません。イタリアの偉大な学者ガリレイはそれまでの私たちの宇宙の見方をひっくり返すような発見をしましたが、その観測は手作りの望遠鏡によるものでした。今日では数々の人工衛星や天文台のおかげで、私たちの宇宙図はより性格なものになっています。最近の観測でもアインシュタインの相対性理論の証拠が見つかっています。

しかけをめくると文章やイラストが隠されていて、子どもが楽しみながら学習できるように工夫されている。
しかけをめくると文章やイラストが隠されていて、子どもが楽しみながら学習できるように工夫されている。

あり得るかもしれない宇宙

 ここ何十年間か、物理学者と数学者は、極大世界の法則(相対性理論)と極小世界の法則(量子論)を融合しようと努力しています。驚くような理論によって、数々の新しいタイプの宇宙が考えられていますが、純粋に理論上の話で立証はできていません。少なくとも今のところは……。

輪の集まりでできた時空
 この理論によると、極小世界では、時空は微細な輪のような単位(ループ)でできています。離れたところからは、この輪の集まりがからみ合う様子が時空の構造のように見えるのだといいます。考案者たちは、輪のネットワークの働きを説明しながら、このレベルの微小世界では、時間の流れというものは存在しないと主張しています。

“ひも” というアイディア
 ひも理論では、素粒子の代わりにミクロな“ひも” をあらゆるものの基本と考えます。しなやかな“ひも” は開いている場合と閉じている場合があり、時空の中で振動しています。この奇妙な存在がひも理論(または超ひも理論)のもとになっていますが、この理論はまた新たなタイプの時空を探究する説(ブレーン、M理論)のもとにもなっています。

一体、いくつの宇宙があり得るのか?
 多元宇宙理論では、想像もつかない数の異なる宇宙が、可能性としてあり得るとされています。100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000もの宇宙があり得るというのです!(数学の先生なら、もっと簡単に10の500乗と書くでしょうね。)私たちのいる宇宙は例外的なのでしょうか、それとも平均的あるいは典型的な宇宙でしょうか? そういうことについては、まだ何もわかっていません。

*本書の内容は、創元社のYoutubeチャンネルにてご視聴いただけます。

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