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大きく変貌する少年犯罪と、改正少年法の変更点や問題点

東京家庭裁判所。検察庁は警察から受理した20歳未満の少年による犯罪事件を全て家庭裁判所に送致しなければならないのだが……。
東京家庭裁判所。検察庁は警察から受理した20歳未満の少年による犯罪事件を全て家庭裁判所に送致しなければならないのだが……。

2022年10月14日発売、平凡社新書『新版 少年犯罪 18歳、19歳をどう扱うべきか』(鮎川潤著)
2022年10月14日発売、平凡社新書『新版 少年犯罪 18歳、19歳をどう扱うべきか』(鮎川潤著)

2001年刊行の旧版を全面リニューアル。少年法の成り立ちから改正少年法の施行まで

 平成13(2001)年3月に『少年犯罪──ほんとうに多発化・凶悪化しているのか』が発売されてから20年以上が経過した。発売当初から好意的な反響をたくさん得て、版を重ねてきた。四刷り目には補遺などで少年法改正について補った。しかし、令和3(2021)年に大きく変更された改正少年法が成立し、令和4(2022)年4月から改正民法に合わせて施行された。

 民法の成年年齢が18歳になったのとは異なり、少年法が成人とみなす年齢は20歳に維持されたが、18歳以上20歳未満は「特定少年」とされ、18歳未満とは異なる扱いを受けることとなったのである。「特定少年」のカテゴリー(範疇)が設けられた影響はとても大きく、その扱いは複雑で、意味するところは深長である。今後の展開も視野に含めて詳しく考察することが必須となった。

 他方で、少年犯罪も大きな変貌を遂げている。大麻を乱用して検挙される少年の増加、いわゆるオレオレ詐欺など特殊詐欺の受け子をする少年の出現、インターネットやSNSを利用した犯罪など、少年による犯罪や非行などの逸脱行動も大きく変化している。犯罪を行った少年に対する警察などの社会統制機関の対応の変化も顕著である。

 最新の考察が必要となり、筆者の、犯罪をした数多くの少年と実際に接し対話してきた経験と、ヨーロッパやアメリカなどで少年犯罪について研究した体験に基づいて、精力的に新版の執筆を進めてきた。

 新版では、第1章、第6章、第7章、終章を新たに執筆した。また第5章、第8章(旧第7章)に大幅な加筆修正を行った。第2章から第4章の日本における戦前の少年犯罪に関する叙述のみほぼ従来のままに留めた。さらに、令和4年4月に施行された改正少年法についての検討は、一般の読者のかたが気づいていないであろう問題点を中心に、分かりやすく解説した。戦後、少年司法の最大の転換点となった、平成12(2000)年に成立した改正少年法についても再考察を行った。

 本書が、少年の非行だけでなく、犯罪に至る背景や、法改正が彼・彼女らに、どのような影響を及ぼすのかを考えるうえで、少しでも読者の視野を広げることに役立てるなら、これにまさる幸せはない。

(平凡社新書『新版 少年犯罪 18歳、19歳をどう扱うべきか』「はじめに」より

『新版 少年犯罪 18歳、19歳をどう扱うべきか』目次

はじめに
第1章 少年犯罪とは何か
第2章 初めての報道と処罰・処遇のあり方 明治時代
第3章 少年法が制定される 大正期
第4章 戦時下の少年犯罪には 戦前の昭和
第5章 低年齢化と日常に溢れる犯罪 戦後から高度成長期
第6章 変容する少年犯罪の陰で 平成の時代へ
第7章 少年の重大事件と新たな言説 ある事例を通して
第8章 少年法改正の軌跡
終 章 改正少年法と今後の展望
あとがき
参考文献

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