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「地図と図鑑から広がる世界」 世界をまるごと知りたいという欲望に応える本

人は世界をどう把握してきたのか。世界を俯瞰する旅へ、いざ出発!
人は世界をどう把握してきたのか。世界を俯瞰する旅へ、いざ出発!

「哲学者の顔」

 ヨーロッパの書店に行くとだいたいポストカード・スタンドがあって、そこにはしばしば文学者や芸術家にまじって、哲学者の肖像画・写真をあしらった絵葉書がささっている。そこで、カントやハイデガーやサルトルなどの絵葉書を、誰かに送るわけでもなく、自分への土産というわけでもなく、とくに目的もなくしこたま買い込む。
 本書『図鑑 世界の哲学者』でも、哲学者は編年的に肖像とセットで紹介されている。哲学者の顔を眺めつつ、約2600年におよぶ哲学の流れをビジュアル性豊かに一望できる。
 この本の日本語版監修者である熊野純彦はカール・マルクスの「フォイエルバッハにかんするテーゼ」をかつてこう読み解いた。「哲学はなによりもまず、現にそのように捉えられている「世界」を〈他のように〉把えかえす試みでなければならないことだろう。哲学が「解釈」しようとする作業であることを超えることがあるとすれば、その地点においてであるほかない」(「拒絶する意志のかたち」より、『情況』2001年7月号)。
 例えば、ソル・フアナ、デカルト、ニーチェ、ボーヴォワール、フーコー……、古代から現代まで、東アジアからラテンアメリカまで、あるいは老荘思想からポスト構造主義、フェミニズムまで、本書に掲載された幅広くしかし厳選された哲学者・思想家198人も、そのようにして「解釈」を超えて、世界を初めて出会うもののように把えかえしてきたのだろう。哲学は自明のもののようにそこに漂っているわけではない。
 そして、哲学者は顔をもつ。たぶん顔は何かを生み出さないが、その顔をもつ者から発した哲学はあなた自身の哲学とは違うことを教える。すなわち、顔は「解釈」から否応なく私たちを排除し、世界を別様の可能性へと開いてくれるのだ。自身の哲学をかたちづくるために、他者の顔に出会う。それが、『図鑑 世界の哲学者』の役目なのかもしれない。

『図鑑 世界の哲学者』
サイモン・ブラックバーン:監修

熊野純彦:日本語版監修 東京書籍

動物たちの旅路から不思議な生態を探ります

 動物はその名の通り移動する生きもの。100万頭の群れで1500キロを旅するヌーや、標高2000メートルの山を駆け登るドールシープなど、その途方もない旅路を地図でたどると、彼らが暮らす地球環境の現在が見えてくる! 海の生きもの、空の生きものと続く3巻シリーズです。

『旅する動物図鑑 ①陸の生きもの』 幸島司郎:監修 筑摩書房

歴史的なドラマや文化などが道路をたどると見えてくる!

 古来、人を運び、物資を運び、文化を運んできた「道路」。そんな道路に隠された歴史的な背景や由来、文化との関わりを紹介しつつ、国道や高速道路、橋やトンネル、交通の最新技術やシステムの知識までを網羅しています。道路を切り口に日本を旅する書!

『知れば知るほどおもしろい 日本の道路がわかる事典』
浅井建爾:著 日本実業出版社

大迫力の実験写真だからわかる 科学っておもしろい!

 なんでチョコレートはすぐとけるの? 鉛筆とダイヤモンドが親戚ってほんと? 等々、身近な現象のひみつから、現在注目の話題まで約140テーマを図解で解説。一瞬を捉えた大迫力の実験写真も満載! 科学のおもしろさを凝縮した決定版大図鑑!

『ジュニアサイエンス大図鑑』
スミソニアン協会:監修 河出書房新社

防災? まずは知ることから!

 日本では、今までどのような地震がおこってきたのでしょうか? 歴史に残る最古の地震、679年の筑紫地震から、2019年の山形沖地震まで、地域ごとに地図で紹介。過去におきたおもな地震については、地震の大きさや被害などをくわしく解説しています。

『地図で見る日本の地震』 島山川徹:文 寒川旭:監修 偕成社

はじめて地図に接する子どもに 楽しい地図絵本シリーズ

 楽しいイラストで、自然・文化遺産、有名建造物、民族衣装、祭り、食べ物などが紹介され、様々な地域の様子が学べます。本書のほか、『せかいちずのえほん』『たべものちずのえほん』があり、オリンピックに向けて日本や世界のことを知るのにおすすめです。

『にほんちずのえほん』
WILLこども知育研究所:編著 すずきあさこ:絵 金の星社

雲のおもしろさ、楽しさに気付く図鑑です!

 著者が撮影したきれいな写真を堪能しながら、さまざまな地域や季節ごとの雲との出会い方がわかる図鑑となっています。「なぜこんな形の雲ができるのか」「この雲と出会うには、いつどこに行けばいいのか」など、雲の見方・楽しみ方がわかる一冊です!

『雲と出会える図鑑』 武田康男:著 べレ出版

海の謎は深海だけじゃない! 水面を漂う知られざる生物たち

 浮遊生物とは潮に流され漂っているプランクトンのこと。わずか数ミリですが半透明で不思議な形態をしているものばかり。虹色に輝くホタルイカ、神秘的なクラゲ、エイリアンのような甲殻類、そしてダイオウイカの幼生も。水面~水深10mの世界を覗いてみませんか。

『美しい海の浮遊生物図鑑』
若林香織、田中祐志、阿部秀樹:著 文一総合出版

知りたいことがどんどん広がる!

 世界197か国のデータや特徴を、あいうえお順で解説。さらに、有名な建物や景色・特産物などは、巻末にて写真つきでもっと詳しく調べることができます! 世界の国のことを知れば、日本のことももっと見えてきますよ。「辞書びき」の入門書としても最適。

『辞書びきえほん 改訂新版 世界地図』
隂山英男:監修 ひかりのくに

世界の歴史的な国旗を網羅 国旗・国章の変遷が図鑑に!

 世界の独立国197カ国の歴史的な国旗・国章を網羅。3000点以上の国旗・国章(地域旗、軍旗も含む)をオールカラーで紹介し、図柄の意味も詳細に解説。 各国国旗・国章の歴史的変遷をわかりやすくレイアウトし、国旗・国章からその国の歴史がわかる大図鑑。

『世界の国旗・国章歴史大図鑑』 苅安望:著 山川出版社

明治22年市制町村制以前の日本の姿を知る基本地図帳

 この地図帳のベースは『輯製20万分1図』という、伊能図と国絵図をベースに明治初期に作られた日本全図。これを、膨大な手作業とIT技術を駆使して、新しい地図帳として現代に蘇らせた。市制町村制確立前の幕末の雰囲気を色濃く残した日本の姿がうかがえる。索引も超便利!

『幕末明治大地図帳――輯製二十万分一図』
清水靖夫、今尾恵介:監修 平凡社地図出版:編 平凡社

詳細不明の「ジパング」は西洋の眼にどう映ったのか

 1528年のヴェネツィアから1797年のローマまで西洋で発行された貴重な世界地図の中から、日本が登場する部分を125枚収録。想像から発見、そして遭遇による理解へ。少しずつ正確な形に描かれていく日本像の変遷過程を年代順にたどる。

『世界の中の日本地図――16世紀から18世紀西洋の地図にみる日本』
ジェイソン・C・ハバード:著 日暮雅通:訳 柏書房

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