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波乱の2020年、池上彰が世界情勢を読み解く『武器になる!世界の時事問題』

記事:大和書房

『武器になる!世界の時事問題』
『武器になる!世界の時事問題』

 一九三九年、平沼騏一郎首相は「欧州の天地は複雑怪奇」なる迷言(?)を残して総辞職しました。平沼内閣はソ連の脅威に対抗するため、ヒトラーのドイツと関係を強化しようとしていたのに、そのドイツがソ連と不可侵条約を結んでしまったからです。当時の日本が、欧州情勢ひいては国際情勢に疎かったことを象徴する出来事でした。

 その後ドイツは不可侵条約を破ってソ連に侵攻。一方日本はアメリカを中心とする連合国と戦争に突入しますが、形勢が不利になると、ソ連を仲介役としてアメリカと和平交渉をしようと考えます。しかし、そのソ連はアメリカと密約を結んで日本への攻撃を準備していました。

 まさに国際情勢は複雑怪奇。それは現代でも続いています。イギリスが国民投票でEU離脱を決めたと思ったら、アメリカでドナルド・トランプ大統領が当選します。北朝鮮との戦争が終わっていない韓国の大統領が、同盟国のはずの日本より北朝鮮と接近しようとします。このように一見複雑怪奇な国際情勢も、各国の歴史や内在的論理を辿っていくと、なぜそのような事態が起きたかが見えてきます。

 あるいは、その国を取り巻く世界地図を見ることで、その国の思惑や危機感もよくわかります。この本は、そうしたさまざまな要素を知ることで、読者が国際情勢をよりよく理解できるお手伝いをしようと企画されました。

アメリカや中国は何を考えているのか?

 日本にとって、アメリカは重要な同盟国ですが、その同盟を軽視しているとしか思えないトランプ大統領。日米関係はどうなるのか。一方で「自国ファースト」を押し進めたイギリスによって波乱が拡大する欧州。EUはなぜ生まれ、これからどうなるのか。

 経済が発展する中国ですが、二〇二〇年初頭の新型コロナウイルスによる肺炎は、情報統制が行われた結果、対策が遅れ、感染者が拡大しました。共産党の事実上の一党独裁の欠陥が、改めて明らかになりました。その中国では、過去に何が起きたのか。信じられない歴史があったにもかかわらず、共産党にとって都合の悪い情報は隠蔽されてきました。情報が隠蔽されると、過去の失敗から学ぶことができないことがよくわかります。

 そして中東問題。アメリカのトランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認めたことで、パレスチナの反発は高まっています。中東は、欧米諸国の勝手な思惑や振る舞いによって翻弄されてきました。

 こうした“複雑怪奇”な世界の中で、日本はどうすべきなのか。それを考える基礎としてお役に立てれば幸いです。

本書の目次より

 第1章 アメリカという「不思議」の国
 第2章 EUは何を目指したのか
 第3章 戦後の日米関係を統括する
 第4章 沖縄問題とは何か
 第5章 中東問題とは、「ユダヤ」「イスラム」とは何か
 第6章 中国の「失敗と」と「成功」
 第7章 朝鮮半島問題
 第8章 世界地図を読む

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