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ハーバード卒の5児パパが説く 子どもの「好奇心」の重要性

記事:大和書房

自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て
自力でできる子になる好奇心を伸ばす子育て

現代の子に最も足りないもの

 今、日本の子どもたちに最も足りていないものはなんでしょうか?

 数学や科学、国語などの学力でしょうか?

 それとも、英語力やプログラミング力でしょうか?

 どれも必要な力かもしれませんが、最も足りていないというほどではありません。

 国際学力調査では日本の学力そのものは国際的順位を上げ、上位グループにあります。英語もプログラミングも小学校から授業が始まります。英語は学校での英語教育が始まる小学3年生から大学まで含めると、14年間も勉強し続けることになるのです。

 では、日本の教育になんとなく漠然とした不安を感じるのはなぜでしょう?

 たしかに、日本の子どもたちはテストをしてみると高校生までは平均的な学力は高いですが、国際的にみると圧倒的に数学が嫌いで、科学が嫌いであり、年齢を重ねるごとに本を読まなくなります。

 英語もそれなりに文法の知識はありますが、極端に苦手意識があって実際に英語で話そうとせず、結局使えないため嫌いになります。

 受験のため、塾に行かせれば一時的に各教科のテストの点数としての学力は伸びますが、本音では「嫌い」なため、受験というゴールがなくなれば、その後は自分で学ぼうとはしません。

 この日本の子どもたちの矛盾を紐解く非常に重要な鍵があります。

 私は、その鍵を、実際に自分の子どもたちの子育てに悪戦苦闘するなかで発見することができました。

 私には5人の子どもがいます。現在、11歳で小学6年生の長男と、9歳で小学4年生の長女、7歳で小学1年生の次女、5歳で年中の三女、2歳で末っ子の次男です。

 長男がまだ小さかった頃、私たち夫婦も親としてはまさに初心者で、子どもの将来になんとなく不安を感じ、あれこれといろいろとやらせてみては、子どもの気持ちがついていかず、うまくいかなかったことが多々ありました。

 英語の幼児教室にいっても馴染めずにすぐ辞めたり、幼稚園でも園のプログラムが合わず、一人で過ごし問題視されるようなことが多かったです。

 そんな悩みを抱えていたとき、子どもが大好きなことにとことんつきあって、自分も一緒に親子で思いっきり楽しもうと開き直ることにしました。

 すると、子どもがいきいきと好きなことに没頭し、自ら図鑑で調べるようになったり、本を読むようになったり、自ら何かを書いたり、つくったりするようになったのです。子育てが楽しくなり、子どもが大好きだという気持ちが素直に溢れるようになりました。その結果、いつの間にか、子どもが5人にもなりました。(笑)

 日本の子どもたちの矛盾を紐解く重要な鍵、私が5人の子どもの子育てで悪戦苦闘しながらみつけたその鍵とは、「好奇心」です。

 そして、好奇心をもって自力で学び続ける力です。日本の子どもたちは、数学も理科も本を読むことも嫌いです。やらされているからしかたなく勉強していますが、自ら興味関心を持ってもっと知りたい、探求したいという好奇心が欠けているのです。

 すると、親や学校があれこれと用意する大学受験まではなんとかなる場合もありますが、本当の学びが始まる大学生や成人後は、ぴたっと学ばなくなってしまいます。すると、成長がストップしてしまいます。

 日本が今国際社会のなかで伸び悩んでいるのは、そんな要因があるのではないかと思います。

世界の最前線の教育でも重要視される「好奇心」

 私は、ハーバード教育大学院で世界中から教育界のリーダーや研究者たちが集まる環境で、世界の教育を研究しました。

 国際的な研究の第一線でも、学力テストでは測定できないが重要な力である「非認知能力」が注目を浴びています。

 そのなかでも特に日本人が足りていない力が何かを探求すると、やはり好奇心であることが分かってきました。

 勤務先の日本財団では子どもサポートチームの責任者を務め、子どもたちが家庭環境に関わらず誰もが自立する力を身につけられるようサポートする施設「第三の居場所」を全国に35箇所以上開設運営しています。

 ここでも、様々な体験や機会を通して、子どもたちがいかにして自力で学び続ける力をつけてもらうかという観点でサポートをしています。

 この本では、ハーバード教育大学院をはじめ、世界の最前線の研究によって分かってきていることと、私自身が5児の親として子育てに悪戦苦闘しながら実感してきたこと、そして、日本の多くの子どもたちの支援をするなかで見えてきたことを、いかにして子どもたちの好奇心を伸ばし自力で学び続ける子に育てられるかという観点でまとめています。

 テストの点数を伸ばすことに比べて、好奇心を伸ばすことは数字で表すことができず、どうしたらよいのか分かりづらいです。

 だからこそおろそかにされてきましたが、実は子どもにとって何よりも重要なことなのです。

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