出口治明さんや辻田真佐憲さんが選んだ一冊は? ブックフェア「今こそ読みたい人文書セレクション」開催
記事:じんぶん堂企画室
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紀伊國屋書店
新宿本店 11/20(金)~ 12/20(日)(TEL 03-3354-0131)
梅田本店 11/16(月)~ 12月中旬予定(TEL 06-6372-5821)
広島店 11月中旬~ 12月末(予定)(TEL 082-225-3232)
札幌本店 11/20(金)~ 2021/1/20(水)(TEL 011-231-2131)
※開催期間は変更となる場合があります。各店舗へお問い合わせください。
出口治明さんのおすすめは、『社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』(小坂井敏晶・著、筑摩書房)。「最高のビジネス書」と評しています。
本書は社会心理学を俯瞰する教科書ではなく、新世紀に入って出版された最高のビジネス書だ。ビジネスが人間とその社会を相手にするものである以上、人間と社会に対する深い洞察が欠かせない。生物や社会を支える根本原理は同一性と変化であるがこの2 つの相は互いに矛盾する。同一性を維持しながら変化するシステムはどのように可能なのか、問いはここから始まる。ページを捲る度に私たちの常識が粉砕されてしまう刺激的な一冊だ。
辻田真佐憲さんには『大衆の反逆』(オルテガ・イ・ガセット著、佐々木孝・訳、岩波書店)を推薦していただきました。古典ながら、今まさに考えさせる内容です。
古典的名著だが、いま読んで興味深いのは「『専門主義』の野蛮」の章。オルテガはそこで、全体知を軽侮する専門家の問題を鋭く指摘している。専門家こそ、問題にすべき大衆の典型なのだと。歴史修正主義の跋扈、コロナ禍などで、専門知の重要性が説かれて久しい。だが、本当にそれだけでよいのか。専門家と市民をつなぐ全体知、現代日本風にいえば、「評論家的な知」は打ち捨てられてよいのか。大学への政治介入が進もうとするいま、読み返すべき一冊。
ブックフェアではこのほかに、「じんぶん堂」に加盟する出版10社や「書店員さんコラム」で紀伊國屋書店「じんぶん大賞」選考委員の書店員さんが紹介した人文書など約29点が並びます。推薦コメントの詳しい内容は、店頭で無料頒布する小冊子でご覧いただけます。お近くの開催書店へぜひお出かけください。