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「知ること」は自分を守ることにつながる 『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』

記事:大和書房

『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』(神藤多喜子 著、大和書房)
『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』(神藤多喜子 著、大和書房)

生理がきたら、女の子の心と体は激変する

生理は女の子にはみんな、いつかはやってくることで、こないと困るものなんです。
女の子が生理を迎えたということは、毎月毎月、妊娠準備のために卵巣から卵子を出しているということ(排卵)。いつかその卵子は愛しあった男性の精子と結びついて受精卵となり、「受精卵のベッド」になる子宮内膜というところに着床すると、めでたく妊娠となります。そう、あなたは赤ちゃんができる体になったよ、ということなんです。
でも、「受精卵」がやってこないと、子宮内膜は使われることがなくはがれ落ちて経血として外に出ていきます。それが生理です。CHAPTER1より

『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』より
『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』より

 生理がくる前と後では、女の子は心も体もガラリと変わる。生理とは月に一度、血を流すだけの行為ではない。妊娠・出産と深く結びついたものであり、「やがて人生を伴にしたいと思うパートナーに出会い、子どもがほしいと思ったときに赤ちゃんを産めるように、毎月予行練習しているようなもの」であると著者は言う。「小さな妊娠出産」と呼ばれるほどに大切なものなのだ。

 「お腹が痛くてたまらない」「生理前にイライラしたり食欲が増したりして困る」…ほとんどの人が生理をうとましく感じているかもしれない。しかし、女性ホルモンが原因のこうした不調は、改善することができる。「女性ホルモンのリズムを知る」「ふだんからケアをする」「生理前や生理中の過ごし方を知る」、この3つを意識すると、生理は女の子を苦しめるものではなく、むしろ、きれいで元気にしてくれる体のありがたい営みになっていく。

“天使と悪魔”2つの女性ホルモンがある

小学校の高学年くらいからおっぱいが少しずつふくらんできたり、お股や脇から毛が生えてきたりして、体の変化に気づいた記憶があると思います。そういった体の変化はなぜ起こるかわかりますか? それは、脳からの指令で、あなたの卵巣が女性ホルモンの分泌を始めたからです。生理がくるのもそのおかげです。
女性ホルモンには、卵巣の中の原始卵胞が成熟して分泌される「エストロゲン」と、排卵後の卵胞からつくられる「プロゲステロン」という2つの種類があります。この2つのホルモンは、正反対の特徴をもっています。だから、私はエストロゲンを「天使のホルモン」、プロゲステロンを「悪魔のホルモン」と呼んでいます。CHAPTER1より

 天使のホルモン「エストロゲン」は、美のホルモンとも呼ばれ、肌や髪をつやつやにし、ウエストがきゅっとしまったメリハリボディをつくってくれる。さらに脳の働きもよくしてくれて、集中力や記憶力アップにも貢献してくれるという優れもの。

 一方、悪魔にもなりうるホルモン「プロゲステロン」のバランスが崩れると、ニキビなどの肌荒れやむくみを起こしたり、便秘や生理前のイライラの原因になったりする。

 「だったら、天使のホルモンを増やせばいいのね?」と思うかもしれないが、悪魔のホルモンは将来妊娠したとき、赤ちゃんがお腹の中で安全に育つ環境を守るという重要な役割をもっている。つまり、妊娠した場合には母性をはぐくむ「母のホルモン」の働きをしてくれる。一方で、天使のホルモンが食事や生活の中で不自然に増えすぎてしまうと、それはそれで乳がんなどの婦人科系の病気のリスクが上がってしまう。そこにブレーキをかけてくれるのも悪魔のホルモンだ。

 つまり、天使と悪魔、2つのホルモンは多すぎても少なすぎても不調の原因となるため、うまくバランスをとることが重要なのだ。

朝、目覚めたらすぐに基礎体温をはかる

「基礎体温」を知っていますか? 朝、起きてすぐふとんの中で寝たまま計る体温のことです。基礎体温をつけていると、女性ホルモンがちゃんと分泌されているか、排卵があるか、次の生理はいつ頃くるかなど、さまざまなことがわかるんです。CHAPTER2より

『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』より
『大切なのに誰も教えてくれなかった 女子の心と体のトリセツ』より

 夜には婦人体温計を枕元に用意して休み、朝起きたらすぐふとんの中で、寝たまま基礎体温を測る。婦人体温計の先端を舌の裏に入れて口を軽く閉じた状態で測り、検温を終えたらグラフにその日の基礎体温を記録する。

 なぜ起きてすぐでなければいけないかというと、人間の体温は体を動かしたりごはんを食べたりするたびに変化して、一定ではないからだ。朝いちばんの運動の影響を受けていない心も体も安静にしているときの体温を毎日記録することで、正確に体の中の状態がわかる。

 排卵や生理が順調な女の子の基礎体温は、2つの女性ホルモンの分泌量によってきれいに2相に分かれて変化する。このようなグラフが描かれると、お肌の調子もよく、気分も安定して過ごせるようになるのだ。

 生理のある女性の体と心は、予想以上にデリケートにできている。生理前には精神的に落ち込んでしまったり、疲労やむくみ、頭痛といった体の不調を感じる人もいる。

 基礎体温をつけて、自分の一か月の生理周期を把握できるようになると、心の浮き沈みや、体の不調に対して事前に準備することができる。「生理だからしょうがない」のではなくて、未然に防いだり和らげたりすることができるのだ。

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