『支援』と同時に『受援』の視点も考える〜 ボランティア活動などの支援を無駄にせず、できる限り効率的に受けるために
記事:朝倉書店
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第3部 分別・処理戦略/第4部 災害時の支援・受援
「ボランティア(volunteer)」の語源は、英語のwill(意思)の語源と同様のラテン語「volo(ヴォロ:願う)」だそうで、聖書を源としており、その名詞形「voluntas(ヴォルンタース)」には「意思」「善意」等の意味があるそうである。つまり参加する側にも、経験や満足等も含めて何らかの得るものへの期待や意図があり、自ら望んで参加するもので相互的な意味合いを感じる。得るものが一方的な意味合いが強い「奉仕」「慈善(救済)」とは厳密には違いそうだ。また、満足度を得る行動ということでは募金等もボランティアの1つとしてよい気がするが、そちらには「チャリティー(慈善、親切)」が使われることもあり、ここでは「活動」やそれを行う人を紹介する。
災害廃棄物の分野でも重要となるボランティア活動を行う際には、ボランティアの作業内容だけではなく、参加方法(行政の立場では受け入れ方法)や装備や道具等の実際に必要となる情報や心構えを理解することも重要である。また、ボランティアの歴史を振り返ることや、受け皿の1つである災害ボランティアセンター(災害VC)の役割や活動内容を理解することも大切だろう。実際に活動をはじめるには、実際の作業に必要な情報、廃棄物の分野では、各市区町村ごとに違うことが多い分別方法、回収方法や日時、持ち込む場合の場所(仮置場)等の情報が必要となるが、正確な情報の入手先は、災害廃棄物の適正処理のためだけでなく、ボランティアの援助を含めた貴重な労働力を間違った行動に費やさないために知っておくべきである。
ボランティア活動等の支援を無駄にせず、できる限り効率的に受けるためには、支援側の目線だけでなく、受援への備えや配慮等の受援への知識が重要である。そこでは発災後、行政がボランティアの受け入れ等受援のためにするとよいこと、住民(被災者)と行政が協働、あるいは理解し合って力を合わせるべきことがあるが、平時にしておけることも多い。日頃、災害への備えとしてできることとしては、災害時に必要となる物資の備蓄や管理といった物質(ハード)的なことだけでなく、災害時にそれらを入手する先との事前調整、災害時の分別や回収予定方法等の情報に関するソフト的なものがある。さらに、住民の核となるリーダーの養成も重要である。
1995年に発生した阪神・淡路大震災は、日本での「ボランティア元年」といわれるきっかけである。これに対して、とくに自治体同士の多様な連携がなされた東日本大震災は「自治体連携元年」といわれることがあるが、応援を受ける側の「受援力」を高めることが必要不可欠であるという認識が広がったきっかけであった。
「住民への発災後の情報伝達・発信,啓発・広報」や「平時に収集できる災害廃棄物の情報や訓練,自治会の役割」,行政自体の(ほかの行政の支援の)受援等については、本書第2部で詳しく説明されている。
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第3部 分別・処理戦略/第4部 災害時の支援・受援