プレミアリーグは最高の“連続ドラマ”だ!! ~ベン・メイブリーさんによる『プレミアリーグ全史1、2』~
記事:平凡社

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毎度、まいど! ベン・メイブリーです。この本を手にとってくださった皆さん、ありがとうございます。
世の中、いろんなフットボールの本がありますね。戦術のことや選手の自伝、指導者向けの本など、皆さんもたくさん読んでおられると思います。この本は、私の生まれ故郷であるイングランドのプロフットボール1部リーグのプレミアリーグ(Premier League)について、その歴史や文化、ライバル関係、さらには名勝負などを時代順に追っていこうというものです。
「Premier」は「第一」または「最高」という意味ですね。では、その「Premier」という言葉が付いているプレミアリーグは、「最高のリーグ」でしょうか? 皆さんはどう思いますか? 何をもって「最高」のリーグとするのかは皆さんそれぞれだと思います。でも、それよりも大切なのは、皆さんがプレミアリーグを好きかどうかです。この本を手に取るほどイングランドのフットボールに興味を持っていただいていることは、イングランド人として、本当に嬉しいです。ありがとうございます!
私は2012年8月から、日本国内でプレミアリーグの中継解説者、コメンテーター、番組MCとして活動をしています。日本に来てはや20年が経ち、多くの人と知り合ったり、Jリーグの応援をしたりするなど、さまざまな経験をしてきました。そもそも、私と日本との出会いは30年以上前に遡ります。1980年代から90年代にかけて、父が2つの日本のオーディオメーカーで働いていた影響もあり、幼い頃から日本に興味を持ち始めました。
実際、2つの島国には、似ている点がたくさんあって面白いですね。例えば、イギリス人特有の言い回しに、近隣のヨーロッパの国の人やアメリカ人は戸惑うことがあります。それは日本人の皆さんがしばしば使う「本音と建前」に非常によく似ています。どこか共通する点が多い2つの島国ですが、1万km以上も離れていますし、9時間の時差があります。イングランドで夕方に始まる試合を日本で見るとなると、深夜1時か2時になります。日本中のプレミアリーグファンが試合を楽しむために、夜更かしをする、その情熱にはいつもすごいなと感心しっぱなしです。
プレミアリーグには、楽しめる要素がたくさんあります。選手たちの巧みなテクニックや身体能力の高さ、そして監督の戦術に惹き付けられるかもしれません。またはプレーの速さ、強度、そして攻撃的なプレースタイルを好んでいるのかもしれません。あるいは、どこが勝つのかを予想するのを楽しんだり、お気に入りのクラブを応援したりすることで、喜怒哀楽のジェットコースターを純粋に楽しんでいるのかもしれません。フットボールを楽しむ正しい方法は1つではないのです。また、小難しい知識も不要です。プレミアリーグを含め、フットボールは皆のものです。だから「美しいゲーム」と呼ばれるわけです。
私はこうしたフットボールの「普遍性」こそが、世界中の人々を虜にし、特にイングランドのフットボールに惹きつける理由だと思っています。スタジアムの景色、音、さらには匂い……クラブのキャラクター、ホームタウン、そしてサポーターたち。スタンドから響く歌やチャント。フットボールは皆の“宝物”なのです。
ではフットボールのどんなところが大切なのでしょうか?
またなぜそれが皆にとって大切なのでしょうか?
興味は好奇心を生み、もっと深く掘り下げたいという欲求、そして喜びをもたらします。私はそういった現象をよく理解しています。私は幼いときから日本に興味を抱いていました。そしてその興味、好奇心は大学での5年間の日本学専攻へとつながりました。
今日、私にとって何より大きな喜びは、言語や文化の壁を超えて、日本のファンのために架け橋役を務め、イングランドのフットボールをより身近にし、その楽しさを深めていただく機会を得たときに感じます。ですから本書もそうした架け橋となればとっても嬉しいです。
[構成=平凡社新書編集部]
第1巻
序 章 イングランド・フットボールの175年
第1章 暗黒時代と再生への道程 1967─90年
第2章 喜怒哀楽の33年間のはじまり
第3章 マンチェスター・ユナイテッドVSリヴァプール 1992─96年 [代理戦争その①]ブラックバーン・ローヴァーズ
第4章 マンチェスター・ユナイテッドVSリヴァプール 1992─96年 [代理戦争その②]ニューカッスル・ユナイテッド
巻末付録 「20の小さな物語」
第2巻
第5章 フットボールがかえってきた
第6章 アーセナルVSマンチェスター・ユナイテッド 1997―2004年 ①フランスの南部とイングランドの北部
第7章 アーセナルVSマンチェスター・ユナイテッド 1997―2004年 ②1999年のようにパーティーをする
第8章 ヨーロッパへの長い道のり 1985―99年
第9章 アーセナルVSマンチェスター・ユナイテッド 1997―2004年 ③無敗の偉業
第10章 チェルシーと「ビッグ4」 2004―10年 ①ロンドンが青く染まる
第11章 チェルシーと「ビッグ4」 2004―10年 ②非常に現代的なライバル関係
第12章 チェルシーと「ビッグ4」 2004―10年 ③ヨーロッパとアメリカ
巻末付録 「不運の13」
第3巻 ※2025年10月上旬刊行予定
第13章 マンチェスター・シティVSマンチェスター・ユナイテッド 2010―13年 ①「騒がしい隣人」
第14章 マンチェスター・シティVSマンチェスター・ユナイテッド 2010―13年 ②アグエロオオオ
第15章 プレミアリーグ不安定期 2013―16年
第16章 「ミラクル・レスター」 2013―16年
第17章 「ビッグ6」時代 2016―24年 ①戦術革命
第18章 「ビッグ6」時代 2016―24年 ②メンタリティ・モンスターズ
第19章 ブライトンとクリスタル・パレスの不思議なライバル関係
最終章 プレミアリーグのこれから
巻末付録 「3つの新しい挑戦者」「再起を狙う16」