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堀川惠子「教誨師」書評 死刑制度の割り切れなさ

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年03月16日
教誨師 著者:堀川 惠子 出版社:講談社 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784062187411
発売⽇: 2014/01/31
サイズ: 20cm/286p

教誨師 [著]堀川惠子

 教誨(きょうかい)とは受刑者をさとし善導すること。死刑囚の教誨師は死にゆく人と交流し、死刑執行に立ち会う過酷な任務を担う。中の事象を語ることは禁じられ、近年その発言は世に出ていない。永山則夫裁判を追ってきた著者は、浄土真宗の僧侶でもある老教誨師の信頼を得、「自分の死後に出版」という条件で聞き取りを進めた。本書に登場する死刑囚たちは皆、生々しい存在感を放つ。母への思いを最期まで叫ぶ者、教誨師の一言に深く傷つく者……。「ホテル日本閣事件」の女性死刑囚小林カウは、執行時に「もう2、3日、待って」と訴えた。老師が一時期酒に溺れたとの告白は、死刑という制度の割り切れなさ、罪と罰の実相の捉え難さに触れている。
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 講談社・1785円