講談社は7月、『学習まんが 日本の歴史』(全20巻、セット定価税込み1万8700円)を発売した。近年、学習向け歴史漫画のリニューアルや新規の刊行が続く流れに乗り、初めて参入した。
日本史が学習漫画になったのは、1960年代にまでさかのぼり、集英社や学研、小学館のものが知られていた。再注目のきっかけは、2013年刊の『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』のなかで、小学館の『学習まんが少年少女日本の歴史』が、「効果的な学習法」として紹介されたことだ。15年にKADOKAWAが持ち運びのしやすいソフトカバーで新規参入した。翌年には、集英社も改訂版を出版。いずれも人気漫画家らを表紙に起用し、従来のイメージを変えた。
出遅れた感もある講談社だが、予想を上回る123万部を発行し、好調な滑り出しだという。「正直、最初はあまり乗り気ではなかった」と担当した菅家洋也・第六事業局担当部長はいう。社命を受けたものの、自身、娘の部屋に、ほとんど読んだ形跡のない学習漫画が眠っていることを知っていたからだ。「高い買い物なのに、読まれなければ意味がない」。漫画はベテランの実力派に、監修は学習漫画で育った若手の研究者に依頼し、物語としての面白さと最新の研究成果との両立を目指した。
出版科学研究所によると、学習漫画の年間新刊点数は、10年が68冊だったが、14年は100冊、18年には175冊と伸びている。担当者は「少子化で、子どもの教育に両親、祖父母の関心が高まっている」とみる。より漫画としての面白さが求められる傾向にあり、「大手出版社はコミックのノウハウが豊富なので、そこが強み」と分析する。(興野優平)=朝日新聞2020年8月19日掲載