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なぜ学校には校歌があるの? 須田珠生さん「校歌の誕生」インタビュー

須田珠生さん

 法律で定められているわけでもないのに、学校に必ずと言っていいほど校歌があるのはなぜか。京都大学人文学連携研究者の須田珠生(たまみ)さんが『校歌の誕生』(人文書院)で、1872年の学制公布から1945年までを対象に、校歌の起源と歴史的展開を追った。

 「学校で歌わされる校歌に思い入れはなかった」が、大正末以降に全国の学校から東京音楽学校(現・東京芸術大学音楽学部)に寄せられた校歌作成依頼状を目にして、研究にのめり込む。「校歌を得ようと熱意を燃やした人が数多くいたことに興味を持ちました」

 明治期には、どの学校でも歌える「校歌」と題した唱歌が存在し、複数の学校が同じ歌を校歌とすることが多かった。大正期になると、地域特有の風物や校訓がうたい込まれ、校歌が学校の独自性を打ち出す手段となる。1930年代には「郷土の歌」としても位置づけられるようになる。「校歌は近代の共同体意識形成の役割を果たしてきました」

 教育文化史や音楽教育学を専攻する30歳。「今後は社歌や寮歌、海外の校歌事情も調べたい」(池田洋一郎)=朝日新聞2020年9月23日掲載