龍谷大学(京都市)に今春、ジェンダー(性差)の視点から宗教研究を行う拠点となる「ジェンダーと宗教研究センター」が創設された。その記念シンポジウムがオンラインで開かれた。男女格差(ジェンダーギャップ)の大きい仏教教団の現状に批判の声もあがった。
竹安栄子・京都女子大学長は、世界経済フォーラムの昨年の報告書で日本のジェンダーギャップ指数が153カ国中121位だったことを報告。浄土真宗本願寺派など日本の伝統仏教の主要10宗派の宗議会議員に占める女性比率がわずか2%だったことを指摘し、「圧倒的男性優位が仏教界の構造。仏教婦人会の名称を仏教女性会に変えるなど小さなことから変革を」と求めた。
川橋範子・国際日本文化研究センター客員教授も「最もジェンダー平等を必要としているのが仏教教団。仏教は本来的には平等というのであれば、なぜ現状ではそうなっていないのか」と批判した。
センター開設の背景に、国連のSDGs(持続可能な開発目標)に掲げられた「誰ひとりとしてとり残さない」という理念があったことを説明した入澤崇・龍谷大学長は「各教団は自分たちの足元を見ているのか。センターでの研究が、各教団の変革に結びつくことを期待している」と述べた。(久保智祥)=朝日新聞2020年12月9日掲載