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福音館書店・松居直さん、お別れの会 絵本に数々の「革命」、作家の冒険を後押し

祭壇は色とりどりの花で彩られた=東京都千代田区

 福音館書店の編集者として多くの絵本作家を世に出し、昨年11月に亡くなった同社相談役・松居直(ただし)さん(享年96)のお別れの会が2月22日、東京都内で開かれた。絵本作家や出版関係者ら、ゆかりのあった人たち約230人が参加した。

 会場では、作家との手紙や写真のほか、松居さんが残した印象的な言葉を集めたパネルを展示した。

松居さんが生前に語っていた印象的な言葉がパネルに集められた

 〈革命というのは物を作るのが一番いいんです。理屈だけでは革命はおきません〉

 月刊絵本「こどものとも」の初代編集長を務めた松居さんは、絵本を描いたことのない人にも積極的に声をかけ、当時では画期的だった横書き、横長の絵本を出版するなど、この言葉通り、常に挑戦を続けてきた。

 お別れの会に参加した絵本作家の田島征三さんは、デビュー作「ふるやのもり」(瀬田貞二再話)を1965年に「こどものとも」で発表したときから交流を続けてきた。「どんなに冒険しても、松居さんはいつも後ろからいいですねと言ってくれる。松居さんがいなければ、僕はこれほどいろんなことはできなかった」と感謝の思いを語った。

 3月15日~4月12日には東京・銀座の教文館9階「ナルニアホール」で「松居直の遺(のこ)した『ことば』展」と題して、お別れの会で並べたパネルや写真を中心に展示する。入場無料。4月5日午後6時~7時半には、松居さんの次男・和(かず)さんの講演会を予定している。定員40人、参加費1千円。申し込み・問い合わせは教文館ナルニア国(03・3563・0730)へ。(田中瞳子)=朝日新聞2023年3月8日掲載