#東京で新生活を始める人たちに勧めたい筑摩書房の10冊
記事:筑摩書房
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〈カルト的人気を誇る伝説の写真集〉
小さい部屋が、わが宇宙。ごちゃごちゃと、しかし快適に暮らす、僕らの本当のトウキョウ・スタイルはこんなものだ!
東京に住む、学生からサラリーマンまで、多種多様な一般の人たちが生活する狭い部屋を写した写真集。
洗濯物や敷きっぱなしの布団まで写し込まれた、80〜90年代の普通の若者の“ありのまま”の部屋を眺めながら、2020年代を生きるあなたにとっての「トウキョウ・スタイル」についても思いを巡らしてみませんか?
〈150人が語り、150人が聞いた、東京の人生〉
一般から公募した「聞き手」150人によって集められた、東京にゆかりのある150人の生活史を並べただけのインタビュー集。本書には解説も説明もありません。ただそこには人びとの、唯一無二である東京での人生の語りがあるだけです。第76回毎日出版文化賞、紀伊國屋じんぶん大賞2022受賞作。
偶然と必然によって人びとが隣り合っている“東京”が再現されている本。1216頁150万字という辞書のような佇まいですが、たまたま開いたところから読むというのもまた良し、の一冊。会ったこともない人たちの人生をふと垣間見てしまったような、新感覚の読書体験が待っていますよ。
山本貴光さんによる書評→そんな生き方があるのかという素直な驚きを正味150回味わえる 岸政彦編『東京の生活史』|じんぶん堂
〈小説家から漫画家、音楽家まで、あの人の「上京&東京」物語〉
藤子不二雄A、松任谷由実、開高健、草野心平、佐藤泰志、庄野潤三、富岡多惠子、出久根達郎、司修、石田波郷、友部正人──様々な理由で“東京”を目指し、そこで作品を残してきた作家たち。彼らの足跡をその作品とともに自らの足でめぐりながら、〈上京〉という視点で読み解く文学案内。
生まれ育った町ではないからこそ、新鮮な想いで風景や人々を眺め、それを作品へと昇華していった作家たち。あなたの「上京」にも共通するような、胸に響く上京物語がきっと見つかるはず。
〈東京の坂を味わうための古典的名著〉
東京は坂の街。東京中を隈なく歩き、古書や古地図を渉猟して、坂道に織り込まれた歴史を辿る。「坂道」研究というジャンルを確立し、いまなお坂道ファンのバイブルと親しまれる幻の名著。
東京の坂道とその名前を見つめると、江戸庶民の暮らしと心が浮かび上がってきます。本書を片手にブラブラと、知られざる町の歴史を感じる散歩にでかけてみるのもおすすめです。
〈都市学の定番本〉
破壊と建築が止まらない東京。再開発が続く今こそぜひ読んでいただきたいのが、このふしぎな都市空間を深層から探り明快に解読した本書です。著者と紙上の探訪をするうちに基層の地形が甦り、水都のコスモロジー、江戸の記憶が呼びおこされ、都市造形の有機的な体系が見事に浮かびあがってきます。サントリー学芸賞受賞作。
東京の都市空間の成り立ちや景観に現れた都市の個性を掘り下げて認識することは、今後の東京のあり方を議論する上で有力な指針を与えてくれます。日本の都市を読む文法書としても必読です。
試し読み→キーワードとしての〈敷地〉 陣内秀信『東京の空間人類学』|じんぶん堂
〈読み終わる頃には、絶対行きたくなっている〉
柄谷行人、奈良美智、吉田戦車……各分野の著名人からも熱い声が多数届く、新宿駅東口改札から15秒、日本一の立地にある個人商店カフェ「ベルク」。チェーン店にはない創意工夫とユニークな経営術を全て詰め込んだ一冊。個人店がどのように生き残るかのヒントが満載。
ビジネスのヒントはもちろん、読み物としても楽しめる一冊です。「新宿」らしさを残しつつ、時代とともに変化しながら生き残ってきたこの店の経緯を知ったら、その空間でコーヒーやパン、ソーセージを食べてみたくなること必至。東京にいるからこそ、読後すぐに足を運べる喜びも味わえますよ。
〈1950~60年代の東京を舞台に描く自伝的連作長編漫画〉
心やすき友と過ごした至福の日々、憂いを秘め通り過ぎていった女たち——いまは懐かしい1950年代末から60年代の東京を舞台に、人気絵師が繊細かつ華麗なタッチでえがく、少年と女たちのリリシズムあふれる世界。
出来たばかりの東京タワーや地下鉄の丸ノ内線、東京のあちこちに走っていた都電……。「ぼく」をやさしく包むように、どこまでもイノセントな東京の風景。都会の喧騒(けんそう)から少し距離をとりたくなった時、人込みのなかで孤独を感じたときは、ひとり部屋でこの本を開いてみてほしい。穏やかな微風が心をさらう、静かな東京。
〈居酒屋文化に頭脳と肝臓で切り込んだ渾身のノンフィクション〉
赤羽・立石・西荻窪……古き良き呑(の)み屋街にはそれぞれの歴史がある。アメリカ生まれの著者が酒のグラスの向こうに見たのは、闇市のにぎわう猥雑(わいざつ)でエネルギッシュな東京の姿。歴史探索とはしご酒という二重の“フィールドワーク”を敢行し、戦後東京の変遷に思いを馳(は)せた、情熱あふれる体験記。
居酒屋と日本酒と東京の町への溢(あふ)れんばかりの愛情で綴られたこの東京千鳥足遍歴を読むと、情景が目に浮かび、いま自分がそこで呑んでいるかのよう。呑兵衛はもちろん、街歩き好きの方にもイチオシです。
〈画期的な「東京漫才」通史〉
現在も人気のある日本の伝統的芸能「漫才」。「お笑い論」の書籍は数多く存在するが、「漫才」の、特に東京を地盤とした漫才の歴史に関する書籍は数少ない。この「東京漫才」に焦点を当て、漫才の源流にまで遡(さかのぼ)り、「東京漫才の元祖は誰か?」、「しゃべくり漫才の流入と定着」、「戦後東京漫才の御三家」、「東京漫才専門寄席」、「MANZAIブームの功罪」、「爆笑問題、ナイツの活躍」などをテーマに、その発生と栄枯盛衰を、通説の誤解を正しつつ記した、画期的な「東京漫才」通史。
演芸好きは必読! 1996年生まれの著者が、記録や先行研究に乏しいジャンルにもかかわらず、綿密調査によってまるで見てきたように描き出してみせた渾身(こんしん)の盛衰史。
「「無」の状態からこれだけの「正史」を作り上げてしまうとは。東京の芸能史は以降本書抜きに語れない。」――杉江松恋
まさに。
〈都会の薫り〉
第二次大戦に突入する前の、ほんのわずかなひととき。数寄屋橋が本当に橋で、その下を掘割の水が流れていた頃の、慎ましやかで暮らしやすい情緒ある東京を舞台に、人間と人間の社会を論じた、吉田健一最晩年の珠玉の一篇。
幾千年かの歴史の中で、人間というものはどれだけ進歩し、どれだけ洗練することができたのだろうか。下宿先のおしま婆さん、自転車屋の勘さん、帝大生の古木君、実業家の川本さん。いずれも味のある登場人物を相手に、おでん屋のカウンターや、待合、カフェーで繰り広げられる、作者一流の軽妙洒脱な文明批評。東京人生における、忘れがたい一篇になるかもしれません。