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なぜレアル・マドリードは世界最高峰クラブであり続けるのか――『レアル・マドリードの革命』より

記事:平凡社

ここ数年のサッカー界の動向を踏まえながらレアル・マドリードの「強さ」の理由について金融・経済学の専門家が繙いた一冊
ここ数年のサッカー界の動向を踏まえながらレアル・マドリードの「強さ」の理由について金融・経済学の専門家が繙いた一冊

スティーヴン・G. マンディス著、田邊雅之監修、片桐絵里子・古森科子・鍋倉僚介訳『レアル・マドリードの革命――世界最高峰クラブの飽くなき挑戦』(平凡社、2026年6月12日刊)
スティーヴン・G. マンディス著、田邊雅之監修、片桐絵里子・古森科子・鍋倉僚介訳『レアル・マドリードの革命――世界最高峰クラブの飽くなき挑戦』(平凡社、2026年6月12日刊)

 2024年6月1日。ロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催された2023―24UEFAチャンピオンズリーグ決勝において、レアル・マドリードはボルシア・ドルトムントに2―0で勝利した。ゴールを決めたのはダニ・カルバハル(トニ・クロースがアシスト)と、ヴィニシウス・ジュニオール(アシストはジュード・ベリンガム)だった。ヴィニシウスは、チャンピオンズリーグ決勝に2度出場して得点を決めた選手として、リオネル・メッシの史上最年少記録を塗り替えた。またドリブルは8回成功させているが、これは2015年の決勝でメッシがユヴェントス相手に決めた最多回数(10回)に次ぐ記録だった。

 レアル・マドリードがチャンピオンズリーグのトロフィーを獲得するのは、これが15度目だ。しかも、リスボンで開催された2014年大会から、ロンドンで開催された2024年大会までの10年間で6度目の優勝となるうえ、過去に出場したチャンピオンズリーグ決勝では、直近9回の試合をすべて制している。2014年以降にレアル・マドリードが記録した優勝回数(6回)は、他のクラブの合計(バルセロナ、リヴァプール、バイエルン・ミュンヘン、チェルシー、マンチェスター・シティが各1回)を上回る。レアル・マドリードのチャンピオンズリーグ歴代優勝回数は、プレミアリーグに所属する全クラブの優勝回数に匹敵するのだ。

 レアル・マドリード会長のフロレンティーノ・ペレスにとっては(在任19年で)7度目のチャンピオンズリーグ優勝で、サンティアゴ・ベルナベウ元会長の(在任35年で)6回を上回る。7回という数字の重みは、ACミランがクラブ創設以来7回、リヴァプールが6回、バルセロナが5回優勝していることからもうかがえる。

 ダニ・カルバハル、ナチョ・フェルナンデス、トニ・クロース、ルカ・モドリッチの4人は、ヨーロピアン・カップを6回制したレアル・マドリードのレジェンド、パコ・ヘントの記録に並ぶ快挙を成し遂げた。現役世代で、優勝した6回すべてに先発出場したのは、アカデミー出身のダニ・カルバハルだけだ。カルロ・アンチェロッティ監督にとっては、監督として史上最多となる5度目の優勝となる(彼は選手時代も2回優勝している)。

 とはいえ、レアル・マドリードもフロレンティーノ・ペレスも、勝利に浸っている暇はない。両者はファンの期待に応えるために、常に高みを目指してきた。勝ち取ったタイトルはピッチの内外を問わず、さらに成功を収めるための特別なモチベーションとなる。

 レアル・マドリードを、レアル・マドリードたらしめているもの、それはクラブの価値と実績だ。中でもチャンピオンズリーグでの活躍は、とりわけ重い意味を持つ。チームが優勝を果たせば、地域コミュニティは強い誇りを抱く。この誇りと肩を並べるものがあるとすれば、レアル・マドリードならではの方法で勝利を摑み取ろうとする情熱だけだろう。レアル・マドリードの選手たちはロンドンで、コミュニティが寄せる期待の重さをひしひしと感じていた。その期待は、試合に勝利するだけではなく、最後まで決して諦めない不屈の精神にもおよぶ。コミュニティの存在意義や価値を体現する行為には、強い責任感と誇りが伴う。ピッチ内外で圧倒的な強さを見せるレアル・マドリードの原動力となっているのは、コミュニティの人々が抱く情熱や価値観であり、これがクラブの文化と持続可能な経済・スポーツモデルの根幹を成している。

 群衆が背後で「カンペオーネス、カンペオーネス、オレ、オレ、オレ」と高らかに歌う中、フロレンティーノはこう述べた。

 「この伝説的なチームは、10年間で6度チャンピオンズリーグのタイトルを獲得した。これは、このエンブレムを胸に付けた人間は誰一人諦めようとしないこと、また、不可能にも思える、説明しがたい魔法のような偉業を成し遂げられるという証である。実に印象深いシーズンだった。15度目のヨーロピアン・カップ優勝、36度目のラ・リーガ制覇、13度目のスペイン・スーパーカップ優勝。このチームはすべてを出し切り、なおも勝利とトロフィーを貪欲に求めていることを示している。だからこそクラブは既に、16度目のヨーロピアン・カップという新たな夢に向けて動き出しているのだ」

 2018年、クリスティアーノ・ロナウドが売却された際には、多くの識者からレアル・マドリードの輝かしい時代は終わったという声が上がった。2021年には、エムバペを獲得すべきだという声も数多く聞こえた。だが彼らがいなくても、レアル・マドリードは2022年と2024年のヨーロピアン・カップを手にすることができた。

 その後、レアル・マドリードは、2024年6月3日にエムバペの獲得契約を発表。世界最高峰の選手の一人が、ディフェンディング・チャンピオンのチームに加わったのである。レアル・マドリードは過去3回のチャンピオンズリーグで2回優勝している他、2024年のバロンドールの有力候補と目されている若きトップ選手たち(ジュード・ベリンガム、ヴィニシウス・ジュニオール)も擁している。

 2024年、レアル・マドリードは毎年発表される『デロイト・フットボール・マネーリーグ』の収益ランキングで1位に輝き、『フォーブス』のランキングでは、世界で最も資産価値のあるサッカークラブの称号も得た。また、スタジアムの大規模改修も完了させている。この施設は2024年5月に、テイラー・スウィフトのコンサートが催された他、2025年のNFLの試合会場に選ばれるなど、クラブの将来に刻まれる感動と収益を生み出している。最後に、2024年5月には、スペインの裁判所がUEFAとFIFAに対して、とある判決を下している。その内容は、各クラブが欧州スーパーリーグに参加するのを禁じるのは、公平な競争の阻害に該当するというものだった。同様の判決は、2023年12月に欧州司法裁判所でも下されていた。

 レアル・マドリードはFIFAにより「20世紀の最高クラブ」に選出されているが、「21世紀の最高クラブ」として認められるべく、あくなき努力を続けている。2024年はピッチ内外において、さまざまな形で「レアル・マドリードの流儀」が継続された年となった。この期間は同時に、「レアル・マドリードの革命」をも浮き彫りにしている。

(構成=平凡社編集部)

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