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「まけるのもだいじだよ にじいろのさかな」 新作「負けは人生の一部、学んで」

 虹色に輝くうろこを持つ魚が主人公の絵本「にじいろのさかな」が、刊行から25周年を迎えた。シリーズは世界で3千万部以上を発行。7月に8作目となる「まけるのもだいじだよ にじいろのさかな」(谷川俊太郎訳、講談社、税抜き1800円)が発売された。作者のマーカス・フィスターさん(57)がスイスから来日し、新作に込めた思いを明かした。

「にじいろのさかな」25周年

 にじいろのさかなは、1992年にドイツ語で出版された。主人公の「にじうお」には、きらきらと光るうろこがあり、特殊な箔(はく)加工が使われている。うろこについて、フィスターさんは「1作目は『大事なものを他者と分ける』というのがテーマだった。そのためには、他にはない特別な魚を描く必要があった」と解説する。
 かくれんぼで鬼になったにじうおは、すぐに友達を見つけられると自信満々だったが、なかなか見つけられない――。新作は、こんな物語が展開する。
 新作を描いたのは米国の大統領が代わる頃で、世界が向かおうとする方向に疑問を感じていた。フィスターさんは「勝者だけが大事で、そもそも負けることがだめだという雰囲気があった。それは間違いだ」と振り返る。伝えたいのは、負けることの大切さだ。
 「敗者がだめな人ではない。負けや失敗は人生の一部なのだから、子どもも大人も受け入れて学んでほしい」(及川綾子)=朝日新聞2017年8月26日掲載