NHK連続テレビ小説「ひよっこ」などで知られる脚本家の岡田恵和(よしかず)さんが、ロックバンド「銀杏(ぎんなん)BOYZ」の曲をもとに青春小説『いちごの唄』(朝日新聞出版)を書いた。挿絵を手がけたのは同バンドの峯田和伸さん。岡田さん脚本のドラマに俳優として峯田さんが出演するなど、映像の仕事をともにしてきた2人が小説でもタッグを組んだ。
勉強も運動神経もイマイチな中学生の主人公コウタは、児童養護施設で暮らす伸二君と親友だった。だが、伸二君は2人のアイドル「あーちゃん」をかばい、交通事故で死んでしまう。その後上京し、コウタは年に1回、伸二君の命日に恋心を抱くあーちゃんに会うことになるが……。
「漂流教室」「銀河鉄道の夜」など、銀杏ファンにはおなじみの7曲が各章のタイトルに。文体も軽やかだ。「5分くらいの曲を聴くようにそれぞれ読んでもらえればすてきだなと思った」と岡田さんは言う。
岡田さん脚本のドラマ「奇跡の人」「ひよっこ」に峯田さんが出演するなど、ここ2年半で密な関係を築いてきた。峯田さんの俳優としての魅力を「セリフが詩になる」と岡田さん。峯田さんも「自分では気づかなかった曲のキラキラした部分を、岡田さんが教えてくれた」と言う。
今作は、峯田さんへのトリビュートを意識したという。「音楽の世界から奪ってしまった、という気持ちがあって。映像の仕事のオファーに応えてくれたぶん、恩返しができないかなと。ミュージシャンだったら曲を作るけど、ぼくは物書きなので、こういう形を選んだ」と岡田さん。
早々に来年の映画化も決まった。「峯田君の音楽の世界観を、僕なりに表現できたと思う。多くの人と共鳴できたらうれしい」(宮田裕介)=朝日新聞2018年7月18日掲載
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