- 11位「磁力と重力の発見」(山本義隆)
- 11位「コンビニ人間」(村田沙耶香)
- 13位「昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫」(笠原和夫ほか)
- 13位「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一)
『磁力と重力の発見』(山本義隆、みすず書房、2003)
従来の科学史で見落とされてきた一千年余の、さまざまな言説の競合と技術的実践をたどり、ニュートンとクーロンの登場でこの心躍る前=科学史にひとまず幕がおりるとき、近代自然科学はどうして近代ヨーロッパに生まれたのか、その秘密に手の届く至近距離にまで来ているのに気づくにちがいない。(みすず書房ウェブサイトより)
・遠隔力である磁力の発見が先ずあり、重力についての考察が次に行われた。この間(16~17世紀)を工業・文化・魔術などの歴史的背景の下に明らかにした労作である(池内了、名古屋大学名誉教授)
・魔術から科学への歴史的転換を「磁力」を補助線に描き切った雄渾な科学史(野家啓一、東北大学名誉教授・総長特命教授)
『コンビニ人間』(村田沙耶香、文藝春秋、2016)
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。第155回芥川賞受賞作(文芸春秋ウェブサイトより)
・1980年代以降の電脳空間およびインターネットの勃興と発展を承けてサイボーグ的主体が論議される昨今であるが、凡百のポストヒューマン研究を読むよりも、この一作で事足りる。コンビニという最も卑近な素材から人類の将来という最も壮大な展望を引き出した点こそ「平成文学」の収穫というほかない(巽孝之、慶應義塾大学教授)
・ロボット(AI)の極北はロボットの人間化、人間の極北は人間のロボット化である「コンビニ人間」! 平成の大傑作(竹内洋、京都大学名誉教授)
『昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫』(笠原和夫・スガ(※糸へんに圭)秀実・荒井晴彦、太田出版、2002)
やくざ、天皇、テロリズム、共産党......日本最大の脚本家・笠原和夫が膨大な取材と激烈な作劇で斬り込んだ昭和の闇。(太田出版ウェブサイトより)
・「仁義なき戦い」4部作で知られる脚本家、笠原和夫は、「実録・共産党」「日本の天皇」など未公開作品シナリオで、日本の近・現代史の闇をあざやかに描き出した大思想家でもあった。そのことを立証する一冊(高崎俊夫、編集者・映画批評家)
・戦後日本の社会、とくにタブーとされた数々を大衆の欲望を通して語り尽くす。映画学、社会学、文学研究の本としても最高。永遠の名著だと思う(池上冬樹、文芸評論家)
『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一、講談社、2007)
「生命とは何か」という生命科学最大の問いに、いま分子生物学はどう答えるのか。歴史の闇に沈んだ天才科学者たちの思考を紹介しながら、現在形の生命観を探る。ページをめくる手が止まらない極上の科学ミステリー。分子生物学がたどりついた地平を平易に明かし、目に映る景色がガラリと変える!(講談社ウェブサイトより)
・様々な情報技術や科学の発展により、我々の「人間観」は変容していく。当時最新であった知見をもとに、それをわかりやすい形で多くの人にひらいていった本書は、この「人間のからだ」自体が、驚くべきものだということを思い出させた。サイエンスと人文学のよき出合い(辻山良雄、書店「Title」店主)
・「生命」が、科学でより微細に解明され、また人工的に操作されるようになったこの時代、「命」とは何か。門外漢には縁遠いが、逃れられないこの問題を、分子生物学の知見をもとに説いた快著。ともかく面白いし、その行きつく先が、東洋の仏教思想にまでどこかつながるとは。意表を突かれるも納得(四ノ原恒憲、元朝日新聞編集委員・元朝日新聞書評委員)
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