「ブラバン」「11 eleven」などで知られる小説家の津原泰水(つはら・やすみ)さんが2日死去した。58歳だった。近年、闘病生活を送っていた。葬儀は近く近親者で営む。
少女小説の執筆活動を経て、1997年に怪奇幻想小説「妖都」を発表。2006年の青春小説「ブラバン」がベストセラーになった。14年に短編「五色の舟」(「11 eleven」所収)が専門誌の「オールタイムベストSF」国内短編部門1位に選ばれた。他に「綺譚集(きたんしゅう)」「バレエ・メカニック」「ヒッキーヒッキーシェイク」など著書多数。
19年、幻冬舎から刊行予定だった文庫の出版が中止になった際、百田尚樹さんの「日本国紀」をツイッターで批判したことがきっかけだったと訴えた。これに対し、同社の見城徹社長が津原さんの過去の書籍の実売部数を公表しつつ、揶揄(やゆ)するような内容をツイッターに投稿。多くの作家や評論家から「出版社との信頼関係を損なう」といった非難の声があがり、同社は後に公式サイトで謝罪した。
朝日新聞デジタル2022年10月05日掲載