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「婦人之友」創刊120周年で公開座談会 家庭と社会つなぐ役割「変わらないで」

(左から)森まゆみさん、林香里さん、山崎みどりさん=3日、東京都豊島区の自由学園明日館講堂

 月刊誌「婦人之友」は今月3日、創刊120周年を迎えた。出版社の婦人之友社はこの日、都内で「感謝の会」を開き、公開座談会を開催。作家の森まゆみさん、東京大学大学院教授の林香里さん、読者の山崎みどりさんが語り合った。長年の読者や関係者約250人が耳を傾けた。

 「婦人之友」の前身「家庭之友」は、1903年に元新聞記者の羽仁もと子と吉一夫妻が創刊。「家庭からよい社会をつくる」という理念のもと、料理、洋裁、育児、世界情勢と幅広い話題を扱い、全国に読者組織「友の会」も誕生した。

 座談会は羽仁曜子編集長が聞き手を務めた。登壇した森さんは、同誌でもと子の評伝を連載している。執筆のためにバックナンバーに目を通すなかで、「彼女の特質は自分の頭で考えること」だと感じたと話した。合理的で無駄をしない生活を目指したもと子の思想や同誌について、「これからの社会にとって大事であり続ける」とした。

 林さんは結婚以来、33年読み続けてきた。育児中に孤独だった時、同誌が「社会と自分をつなぎとめてくれた」という。女性が社会に出ることが当たり前になったいま、雑誌にも変化が求められるとした。そのうえで、戦争や環境などの社会問題について、それぞれの読者にできることを探ってきた同誌のあり方について、「変わらないで」と励ました。

 山崎さんは「友の会」の前会長で、雑誌作りにも関わってきた。「私は全共闘世代。社会参加できなかった主婦の立場を感じていた。でも『婦人之友』を読み、家庭生活をしていても社会をよくすることができると自信が持てた」。家庭での生活感覚が平和にいかせるのではないかとし、「男の方にも読んでいただける雑誌にしていく方法を探りたい」と語った。

 座談会の詳細は、同誌6月号に掲載予定という。(真田香菜子)=朝日新聞2023年4月19日掲載