2023年のノーベル文学賞に5日、ノルウェーの劇作家ヨン・フォッセさんが決まった。作品に出演したことがある俳優の長塚京三さんが談話を寄せた。
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2007年にフォッセさん作の舞台「死のバリエーション」に、娘の死を受け入れられない男の役で出演しました。
台本は非常にユニークだと思いました。生活臭がなくてまるで詩のよう。登場人物は固有名詞を持たず、時代や国も分からない。どういう舞台になるのかと思いましたが、演出家や俳優がそれぞれの世界観を抱けるように任せられているので、卓抜した作劇術だと感じました。
作品は、水墨画のようにささっとした筆致で描かれ、北欧特有のカチーンと研ぎ澄まされた空気感が加わっているのが魅力でした。未来都市のような物語でしたね。日本での上演の機会がもっと増え、ブームになればいいと思います。
朝日新聞デジタル2023年10月05日掲載