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岩波仏教辞典、20年ぶり改訂 「大逆事件」「オウム真理教」の項目も追加

 仏教の用語や思想、儀礼などを広く深く解説する岩波仏教辞典(岩波書店)が約20年ぶりに改訂され、2023年11月に第3版が刊行された。02年の第2版から200項目以上が増え、約5千項目を収める。近代仏教をはじめ最新の研究成果が盛り込まれている。

 岩波仏教辞典は1989年、仏教学者の中村元や中国思想史学者の福永光司らを編者に初版が出版された。第2版から仏教学者の末木文美士(ふみひこ)さんが編者に加わった。今回は佛教大の大谷栄一教授や創価大の菅野博史教授、東京大史料編纂(へんさん)所の菊地大樹教授ら6人が編集協力者を務めた。

 特色の一つは、研究が盛んになっている近代仏教の項目が増えたことだ。明治以降に活躍した僧侶の「赤松連城(れんじょう)」「暁烏敏(あけがらすはや)」「友松円諦(えんたい)」らが加わったほか、「大逆事件」「オウム真理教」「政教分離」「葬式仏教」なども収めた。

 「環境と仏教」「超国家主義と仏教」「インターネットと仏教」「災害と仏教」といった現代の動向を反映した項目も追加された。ベトナム出身の禅僧「ティク・ナット・ハン」などアジアや欧米の情報も網羅されている。
 税込み9900円。(岡田匠)=朝日新聞2024年1月31日掲載