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「小説とは何か」を考えるヒント

東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ (朝日選書) 著者:辻原 登 出版社:朝日新聞出版 ジャンル:小説・文学

価格:1620円
ISBN: 9784022630209
発売⽇: 2014/06/10
サイズ: 19cm/309p

「罪と罰」は人殺しの物語でありながら、なぜ読み継がれてきたのか? 谷崎潤一郎はどのように「夢の浮橋」を書いたのか? 小説家・辻原登が東大生を前に世界文学、日本文学を語りつ…

評者:朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年07月06日

東大で文学を学ぶ [著]辻原登

 著者が東大で「近現代小説研究2」として講義した内容がまとめられた。副題に「ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ」とあるとおり、縦横無尽に語られ、ときに「近現代小説」の枠をはみ出して、『源氏物語』と『古事記』の対比にまで及ぶ。
 しかし、それは『源氏』と谷崎の『夢の浮橋』とを比べるための周到な伏線であることが、やがてわかる。「小説は秩序立てて語られる夢」であり、それをいかに他者に理解できるものにするか。谷崎は見事に「生涯かけて語り尽くした」との結論に至る。
 作家は小説を書いていけばいいと思いつつ、小説とは何なのかを「真剣に考えなくてはいけない時期」だという。そのヒントが詰まっている。
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(朝日選書・1620円)