「宇宙の覇者 ベゾスvsマスク」書評 2人の起業家、燃えるライバル関係
評者: 石川尚文
/ 朝⽇新聞掲載:2019年02月23日
宇宙の覇者ベゾスvsマスク
著者:クリスチャン・ダベンポート
出版社:新潮社
ジャンル:経営・ビジネス
ISBN: 9784105070816
発売⽇: 2018/12/18
サイズ: 20cm/395p
宇宙の覇者 ベゾスvsマスク[著]クリスチャン・ダベンポート
米国の起業家は、やはりスケールが違う。
アマゾンを興したジェフ・ベゾスと、インターネット銀行で成功したイーロン・マスク。巨額の資産を得た二人が今、先陣を争っているのが宇宙ビジネスだ。本書は二人のライバル関係を軸に、政府機関中心の宇宙開発に新興企業がいかに食い込んだかを活写する。
「虚勢と蛮勇」で突き進むマスクと、ゆっくりとだが着実に歩むベゾス。「一対一の競争」というかつての米ソにも似た関係が、互いの推進力になっている。
ビジネスチャンスだけではなく、冒険心とエゴ、つまり「最後のフロンティアを切り拓くことで人類の歴史にいかに大きな足跡を残せるか」が両者を駆り立てる。マスクは「火星移住」を掲げ、ベゾスは「宇宙のインフラを築く」という。
その成否は定かでないし、一握りの成功者に富と名声が集中する社会の是非も問う余地がある。だとしても、本書が描き出す彼らのパワーには驚かされる。