『日本沈没』などで知られるSFの巨匠、小松左京の歩みをたどる「小松左京展―D計画―」が東京・世田谷文学館で開催中だ。13日にはオープニングイベントとして、ともに日本のSFの黎明(れいめい)期を牽引(けんいん)した筒井康隆さん、豊田有恒さんが思い出を語り合った。
豊田さんは、小松がかつて経済団体を前に講演した際のジョークが忘れられない。「宇宙へ行くと異常妊娠が増えます。これを地球外妊娠と言います」と言い放ったが、誰も笑わなかった。筒井さんは「小松さんのジョークはちょっとシュールだった。ちょっと下品だけど、それが面白い」。
「科学の最先端の通訳みたいなところがあった」と豊田さん。筒井さんは「私は小松さんの文学的なところばかりを勉強してきた。誰か思い出を聞いて一冊にまとめてくださればと思う」と話した。
12月22日まで。(興野優平)=朝日新聞2019年10月16日掲載