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清原和博さん「魂問答」インタビュー 根性意味ない病との闘い

元プロ野球選手・清原和博さん(52)

 意思に反して人生のすべてを覚醒剤にコントロールされていく「アリ地獄」、逮捕の瞬間、保釈後の薬物依存症とその後遺症のうつとの闘病などが赤裸々に語られている。

 覚醒剤取締法違反で2016年に有罪判決を受けた清原和博さんと、清原さんの精神的なよすが、示現寺(神奈川県藤沢市)住職の鈴木泰堂さん(44)との対談本である本書を読めば、薬物依存症が意思の力で何とかできるものではなく、治療の必要な病気だとわかる。

 だが、こういった依存症の専門家の常識は、必ずしもまだ社会で広く受け入れられているとはいえない。「甘えている」「努力が足りない」などととらえられがちだ。

 「僕は気合と根性は誰にも負けないと自負して生きてきました。でも、薬物だけはだめでした。それに気がついたのは逮捕後でした。いま薬物で苦しんでいる人には、一刻も早く専門的な治療を受けてほしい」

 現在、専門医の治療に加え、患者の自助グループの会合にも参加している。参加者に共通した体験は自己否定だ。清原さんも高校野球やプロ野球での活躍を含めて自分の価値を否定し、「消えてしまいたい」と落ち込んでいた時期があった。

 「そんな時に、たとえばダルビッシュ有さんの『さぁ皆で清原さんのセカンドチャンス、応援しましょうよ!』というような温かい言葉は、うつの薬の何倍も僕を元気づけてくれました」

 いったん薬物に支配されると脳神経に記憶が残るため、薬物依存症は治ることはないとされる。しかし、回復はでき、社会復帰も可能だ。

 「体験から言えるのは、独りでは依存症と闘えないということです。周りの人は当事者を孤立させないように受け入れ、支援の手を差し伸べてあげて下さい」(文・大岩ゆり、写真・福留庸友)=朝日新聞2020年1月25日掲載