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松田青子さんが大人っぽい気持ちになれたミスタードーナツ 信じられないほどおしゃれだった「D-ポップ」

ミスタードーナツ「D-ポップ」(現在は販売してません)

 十代の頃、何をおしゃれと思っていたかというと、ミスタードーナツだった。

 私が中学生の頃、駅前のみゆき通りの姫路城側の端っこに、姫路城が見晴らせるミスタードーナツがあった(姫路はどこにいてもだいたい姫路城が見晴らせた)。駅前で何か用事があったり、母と待ち合わせをしたりする時に、ミスタードーナツに寄るのを楽しみにしていた。

 コーヒーカップのぽってりとした感じとドーナツの組み合わせに憧れていたのだが、私はコーヒーが苦くて飲めず、今でもミルクを入れないと無理なので、もっぱらジンジャーエールばかり頼んでいた。その頃はジンジャーエールも私的にはめずらしく、大人っぽい気持ちになりながら飲んでいた。おそらくジンジャーエールをはじめて飲んだのもミスタードーナツだったような気がする。大人になってから、カフェオレとドーナツでキメられるようになり、うれしかった。

 当時、ミスタードーナツで私が信じられないほどおしゃれだと思っていたのが、D-ポップという商品だった。

 これは、一口サイズのまん丸のドーナツが六種類、紙の容器に入っていて、ココナッツがまぶされているチョコレート味だとか、黄色の歯応えのある小さなトッピングがついているのとか、見た目からしてキャッチーで、こんなかわいいもんがあるんかよと夢中だった。食べる時はいつも、一つ一つかみしめるようにして味わった。数年前に復刻にされたらしいのだけど、あの頃のように感動することはないだろうと思い、食べていない。でも、ココナッツがまぶされたチョコレートドーナツは今も好物である。

 ミスタードーナツといえば、もう一つ忘れてはいけないのが、ポイントを集めてもらえるオサムグッズのオリジナルグッズだ。カジュアルな雰囲気のあるイラストがこれまたおしゃれで、血眼でポイントを集めていた。一度、『不思議の国のアリス』などの童話テイストの絵が描かれた缶がもらえる時があり、青い海賊の缶をあまりにも気に入ったので、いまでも大切に保管している。あの頃大人だったら、もっと本気でグッズを集められたのにと口惜しい。なので、最近のオサムグッズの復刻には心が踊り続けている。ミスタードーナツでもこれからもっとオサムグッズのグッズをつくってほしい。

 残念なのが、今住んでいる街にミスタードーナツがないことである。ミスタードーナツがある街にすればよかった!と本気で後悔している。次に引っ越しするなら、絶対にミスタードーナツがある街に引っ越したい。