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「こどもの本総選挙」ベスト10を発表! ヨシタケシンスケ「りんごかもしれない」が第1位に

「小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙」とは?

 NPO法人こどもの本総選挙事務局主催「小学生がえらぶ! こどもの本総選挙」。「こどもたちに面白い本に出会える機会を作り、本をもっと身近に感じてもらいたい」という思いから始まり、2年に1度のペースで開催され、今年で4回目を迎えました。過去3回で、のべ約54万人の小学生が投票に参加。こどもたちが楽しみにしているイベントです。

 第4回の投票期間は2023年5月5日~9月8日の約4カ月間。全国の小学生が、公式サイト応募フォーム、学校、公共図書館などで、今まで読んだ中で「いちばん好きな本」に投票。投票総数は14万4188票が集まりました。発表会には、投票者の中から選ばれた10名の「こどもプレゼンター」のほか、抽選で選ばれた17組の親子が観客として参加しました。

久々に「こどもプレゼンター」も参加

 最初に、こどもの本総選挙事務局長の岡本大さんが「今回は、コロナ禍以来、たくさんの小学生に会場にお越しいただくことができ、みなさんと一緒に結果発表の喜びを分かち合えることをとても嬉しく思っております。このイベントを通じ、一人でも多くの子どもたちに新しい本との出会う喜びを届けたいと思います」とあいさつしました。

 続いて、アンバサダーを務める作家でお笑い芸人の又吉直樹さんが登場。著者に賞状を渡すという大役を務めるこどもプレゼンターたちに「緊張すると思いますけど、会場に来れただけでも大成功なので自信を持ってください。ぜったい上手くいきますし、上手くいかなかったらいかなかったでおもしろいので大丈夫です。みんながどんな気持ちで本を選んだのか聞くのを楽しみにしています」と挨拶し、会場が和やかな雰囲気に包まれました。

アンバサダーの又吉直樹さん

ベスト10のうち4作が初ランクイン!

 いよいよ、ベスト10の発表。第10位には、いわいとしおさんのロングセラーシリーズ第1巻『100かいだてのいえ』が初めて選ばれました。1階から100階まで縦開きでつながる絵が楽しい作品です。

100かいだてのいえから見る星はきれいだと思いました。こどもプレゼンター(1年生)

いわいとしおさん(右)

 作者のいわいさんは「選んでくれた方から直接、賞状とコメントをいただけるなんて、感無量です。最初はシリーズになるとは思っていなかったので、続けてこれたのは、読んでくれている子どもたちの大きな応援があったからこそだと思っています。これからも、がんばって描き続けたいと思います」と喜びを語りました。

 第9位には、カバヤ食品の人気玩具菓子「ほねほねザウルス」をモチーフにした作品『ほねほねザウルス ティラノ・ベビーのぼうけん』(原案・監修:カバヤ食品株式会社、作・絵:ぐるーぷ・アンモナイツ)が、前回に引き続き受賞。

トップスがなにも知らないのが面白いのと、いっぱい仲間ができるところがいいです。こどもプレゼンター(1年生)

 作者のぐるーぷ・アンモナイツの大崎さんは手紙で「前回選ばれたときは、たまたま選ばれただけかもしれないという思いがあったので、今回も選ばれたことで大きな自信になりました」とコメントしました。

 第8位の『ドラゴン最強王図鑑』が発表されたときは、会場からも驚きの声が。初ランクインとなった本作は、シリーズ325万部を突破した「最強王図鑑」シリーズの1冊。トーナメント形式でドラゴンの最強を決定していく、小学生から熱狂的な支持を集める人気作品です。

レヴィアタンの戦うシーンがかっこいいです。こどもプレゼンター(1年生)

 Gakken編集者の目黒哲也さんは、「この本は、学校に持ってくることが禁止になっていることが多いといわれています。その理由は、どっちが勝つか友だちと話していてケンカになるから。みんなで読んで、ケンカになるまで話す本はなかなかないと思うので、うれしく思っています。これからも、子どもたちが大好き過ぎて親御さんや先生を困らせるような本を作っていきたいです」と、熱く語りました。

「最強王図鑑」シリーズの担当編集者、目黒哲也さん(右)

 続く第7位に選ばれたのは、ひのひまりさんの文庫作品『四つ子ぐらし① ひみつの姉妹生活、スタート!』。シリーズ16作となる人気作品で、前回に続いてのランクインとなりました。

四人で家事をするとき、部活をするとき、友だちと遊ぶときなど、いろいろな場面があって面白いです。こどもプレゼンター(4年生)

 ひのさんは「投票していただいてありがとうございます。私も読者のみなさんと一緒にドキドキわくわくしながら執筆を続けていきたいです」と喜びを語りました。

 そして、第6位には柴田ケイコさんの『パンどろぼう』が初めてランクイン。おいしいパンを探し求める大泥棒が活躍するシリーズ作品で、憎めないキャラクターが子どもから大人まで人気を集めています。

パンの好きなパンどろぼうが、パン職人になるところがすごいなと思いました。こどもプレゼンター(2年生)

こどもプレゼンターからの言葉に耳を傾ける、パンどろぼうと担当編集者

 柴田さんからは「パンどろぼうというキャラクターは、ちょっとドジで間抜けだけど、好きなことには一筋。実は私もそんな人間です。自分を投影したようなパンどろぼうが愛され、親しまれてとても幸せに感じています。小学生のみなさんも自分の魅力的な部分を知り、それを大事に成長していってほしいと思っています」とのコメントが届きました。

根強い人気作の中に食い込んだ『大ピンチずかん』

 第5位に選ばれたのは、前回1位を受賞した廣嶋玲子さんの『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』。ステージには同作の主人公・紅子さんも登場し、会場を賑わせました。

担当編集者(左)と紅子さん(右)もお祝いに駆けつけました

いろいろな駄菓子が出てきて面白いし、漢字の勉強にもなるし、想像して楽しいです。こどもプレゼンター(4年生)

 廣嶋さんからは「またまた選んでいただいて感謝感激。この賞に選ばれることほどうれしいことはありません。これからもがんばります。どうぞみなさま、よろしくお願いするでござんす」と、紅子さん節のコメントが届きました。

 続く第4位は、ヨシタケシンスケさんの『あるかしら書店』。こんな本あったらいいなが詰まった妄想書店を描いた、本好きの子どもたちに人気の作品です。客席でも本を持参した小学生の喜ぶ姿が見られました。

どんな面白い本が出てくるかページをめくるたびにワクワクします。世界一周読書の旅に行ってみたいなと思いました。こどもプレゼンター(4年生)

 前回に続いてランクインとなったヨシタケさんは「僕も本が好きで、こんな本があったらいいなと思って作った本です。一緒に喜んで読んでくれた全国の小学生のみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。みなさんもいつか本を作る側になってくれたらうれしいなと思います」と話しました。

 第3位に、鈴木のりたけさんの『大ピンチずかん』が発表されたときは、会場から歓声があがりました。「こどもの本総選挙」初登場となる本作は、子どもたちの身のまわりに起きる大ピンチを紹介する大人気作品です。

これから自分にピンチが起きたときに、どうすればいいか予習できるのがいいところです。こどもプレゼンター(2年生)

鈴木のりたけさん(右)

 作者の鈴木さんは、「選んでいただいてありがとうございます。テストとか、順位をつけられるのは嫌なこともありますが、順位をつけることで、友だちと本について語ることもできると思います。本は一人で読むだけじゃなくて、人と繋がることができる。人生の楽しみにもなると思うので、このイベントも続けていってほしいし、そこに応えられるようなすばらしい本をこれからも作っていきたいと思います」と話しました。

 第2位に選ばれたのは、動物学者・今泉忠明さん監修の『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』。毎回トップ3に入る大人気作品が4度目の受賞となり、会場からも大きな拍手が起こりました。

生き物たちの残念なところがおもしろい。こどもプレゼンター(2年生)

 今泉さんは「最近は『ざんねんな今泉さん』と呼ばれています。この本は、実は動物の進化について書いた真面目な本なんです。子どもたちが本を読むことで、動物学のことを知ったり、文字を読んだり、ファンレターで文字を書くことを勉強したりしてくれるとうれしいです」と、喜びを語りました。

小学生の「最強本」はヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作

 そして、映えある第1位に輝いたのは、ヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作『りんごかもしれない』。毎回トップ10に入る、人気作品です。

男の子のいろいろな発想が出てきてすごくおもしろかったし、こんな発想もあるんだなと、自分にアイデアをくれるから、とても好きです。こどもプレゼンター(2年生)

ヨシタケシンスケさん(右)

 ヨシタケさんは「たくさんの小学生が選んでくれて、ほんとうにうれしいです。この先、いろんなことが起こったときに、こうやって考えたら面白いかもしれない、こういうことがあるかもしれないと、『かもしれない』を上手に使いながら楽しく過ごしていってもらえると嬉しいです。これからもワクワクできるような本をみんなに応援してもらいながら作っていきたいです」と、受賞を喜びました。

本と向き合う時間はすてきなこと

 TOP10の発表を受けて、アンバサダーの又吉さんは総評として次のようにコメントしました。

 「想像力をかき立ててくれる本、いろんな感覚を刺激してくれる本が揃ったなと思います。知らない世界を見せてくれたり、なんとなく感じていたけど言葉にできてなかったものを言葉や絵で伝えてくれて、自分の頭の中を整理できる本ですね。みんながどの本を選ぼうかなと、本にちゃんと向き合って考えた時間があることが、すごくいいなと思います。『ドラゴン最強王図鑑』を読んでいる子どもたちが喧嘩をする話は、すごくすてきなことだと思いました。読んだ本について、自分はこう思うと語り合うのは、本にとってもすごくうれしいこと。いろんな人がいろんな楽しみ方をすることで、その本がさらに魅力的になっていくと思います。学校でも禁止にしないで、授業で取り上げてほしいですね。他の人が選んだ本も読んでみると、自分の感覚も広がっていくのでおもしろいと思います」

 イベントの最後には、作者による「こどもの本総選挙スペシャルサイン会」が開催され、会場から抽選で選ばれた10人の子どもたちが、色紙にサインをもらうことに。自分が選んだ本の作者にサインをもらえる貴重な機会に、子どもたちも喜んでいました。

第4回「こどもの本総選挙」ベスト10

  • 1位 「りんごかもしれない」(作:ヨシタケシンスケ ブロンズ新社 2013年)
  • 2位 「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(監修:今泉忠明 高橋書店 2016年)
  • 3位 「大ピンチずかん」(作:鈴木のりたけ 小学館 2022年)★
  • 4位 「あるかしら書店」 (作:ヨシタケシンスケ ポプラ社 2017年)
  • 5位 「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(作:廣嶋玲子 偕成社 2013年)
  • 6位 「パンどろぼう」(作:柴田ケイコ KADOKAWA 2020年)★
  • 7位 「四つ子ぐらし①ひみつの姉妹生活、スタート!」 (作:ひのひまり KADOKAWA 2018年)
  • 8位 「ドラゴン最強王図鑑」(監修:健部伸明 Gakken 2022年)★
  • 9位 「ほねほねザウルスーティラノ・ベビーのぼうけん」(作:ぐるーぷ・アンモナイツ 岩崎書店 2008年)
  • 10位 「100かいだてのいえ」(作:いわいとしお 偕成社 2008年)★

★は初ランクイン