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絵本作家・いわむらかずおさんを偲ぶ会 「読む子どもたちは『15匹目』家族に包まれる安心感」 

いわむらさんとの思い出を語るアーサー・ビナードさん(右)

 昨年12月に85歳で亡くなった絵本作家いわむらかずおさんを「偲(しの)ぶ会」が10日、東京都内で開かれた。作家仲間や同級生など約100人が、思い出を語り合った。

 代表作「14ひきのひっこし」など、野ネズミの大家族を描いたシリーズを英語版に翻訳した詩人のアーサー・ビナードさんは「いわむらさんは、自然の中に生息しながらこの作品を描いた。読む子どもたちは『15匹目』になって、家族に包まれるような安心感を得られていると思う」。

 児童文学作家の山下明生(はるお)さんは、一緒に絵本「ねずみのでんしゃ」などを手がけた。「会いたくなったら、隅々までいわむらさんのエキスが浸透している本を開いて話がしたい」と惜しんだ。

 「偲ぶ会」発起人の一人で絵本作家の西巻茅子さんは、東京芸術大での同級生。75年に都内から栃木県に移住したいわむらさんについて「ガンさん(いわむらさんの愛称)は何より自然が大好きで、自然の絵本を描くために引っ越した。そこで『14ひきの』の本をたくさん描き、美術館も作った」と振り返り、「それを子どもたちと共有することを人生の目的にしていたのだと思う」と話した。(伊藤宏樹)=朝日新聞2025年3月29日掲載