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歌人・詩人 千種創一さん ガザの子どもたちの支援イベントで朗読

平和への祈りを込めたニットの横断幕を掲げる参加者たち=東京都港区の増上寺、佐々波幸子撮影

 パレスチナ自治区ガザで戦闘が始まって3年。ガザの子どもたちを支援するイベントが6日、東京都港区の増上寺で開かれ、歌人・詩人の千種創一さん(38)が登壇した。「FREE GAZA」と編み込まれたニットの横断幕を背に自作の詩を朗読し、ガザに心を寄せた。

 朗読したのは、2024年に「現代詩手帖」に寄稿した「オレンヂと鰭(ひれ)」。ガザを思い、作った詩だ。

 〈(前略)この瓶(ペットボトル)を拾つて呉れたあなたへ/私は魚に成りたい/魚に成つてこの監獄を抜け出したい(中略)此処は昔、オレンヂの地つて呼ばれてゐました(中略)でも今は巨きな監獄なんて呼ばれて/祖父のオレンヂの樹も伐られて/瓦礫の匂ひに満ちて〉

 作品は、次の言葉で締めくくられる。

 〈戦争から遠く離れてゐることは罪なのか/つて最近ずつと考へてゐた/この手紙を島の外へ運ばう/それが自分に出来る数少ない〉〈鰭に成り得ぬ手のひらをぢつと見てゐる/鰭を〉

 千種さんは10代の頃、学校の授業で子どもが戦車に石を投げている写真を見た。第2次インティファーダと呼ばれる、パレスチナでの民衆蜂起が起きた時の光景だ。「なんでこんな不平等な世界があるのか」とパレスチナ問題に関心を持ち、東京外国語大学でアラビア語を専攻。卒業後は約8年、中東諸国で働いた。

 今年9月に出版された4冊目の歌集「四月草紙」(青磁社)にも、中東の紛争地域で詠んだ歌を収めている。いずれも現場で目の当たりにした光景だ。

 〈建てるのが、いや、壊すのも人の営みか 校舎は砲撃にひしゃげて〉

 〈朝、炭の火は見えずとも燃えていて道の孤児たち手を温める〉

 KNIT4GAZA(ニットフォーガザ)実行委員会が主催したこの日のイベントでは、約500人が手編みしたモチーフをつないだ横断幕がお披露目されたほか、手編みのマフラーやセーターなどのチャリティーバザーが開かれた。売り上げの57万5900円はNPO法人「パレスチナ子どものキャンペーン」を通して、ガザの子どもたちの保健医療支援に充てられる。

 千種さんは言う。「日本にも連帯する人がいると現地の人に伝われば、と思います。一人ひとりの平和への祈りは糸のように細くても、束になると、強くなる。たとえ無力に見えても、祈りがすべてのはじまりだと信じています」(佐々波幸子)=朝日新聞2026年10月14日掲載