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鈴木光司さんをしのぶ会 ホラー小説の帝王、先を見据えていた 

鈴木光司さんをしのぶ「壮行会」で。遺影を前に映画「リング」の中田秀夫監督(左)と貞子

 今年5月に68歳で亡くなった作家の鈴木光司さんをしのぶ「壮行会 新しい海へ」が11日、東京都内のホテルで開かれた。編集者ら100人を超すゆかりの人々が集まり、明るくエネルギッシュに人生を送った鈴木さんの思い出を語り合った。

 友人代表として、小学校時代から60年近いつきあいだった鈴木康友・静岡県知事があいさつ。ほとんど本を読んでいなかったはずなのに太宰治「人間失格」を読んだとたん「俺は将来、小説家になる」と宣言したり、大学時代に「面白い怪談を思いついた」と聞かされたのが後に代表作「リング」の根幹をなす話だったり、次々とエピソードを披露した。「政治にも関心があり、特にエネルギー問題についてよく議論した。もっと議論をしたり、酒を飲みたかった。残念でなりません」

 作家の京極夏彦さんはビデオメッセージを寄せた。「あなたはホラー小説の帝王みたいな居場所を確保してニコニコしてましたけど、もっとずっと先の射程を目に入れていたでしょう。ホラーだけではなく小説界の帝王となるビジョンを持っていたはずです。なのにここで逝っちゃうのはズルくないですか。僕はあなたの書く小説の先が読みたかった。どうして読ませてくれなかったんですか」

 その後、映画版「リング」の中田秀夫監督があいさつ、主演の松嶋菜々子さんからのメッセージが読み上げられ、会場が暗転、登場人物の「貞子」が井戸からおどろおどろしくはい出すシーンが再現された。思わぬゲストの登場に会場が沸き、貞子は遺影を背景に来場者たちとの記念撮影に応じていた。(野波健祐)=朝日新聞2026年10月21日掲載