昔となった「こないだ」、ともに過ごした師友のことなどを書いた、1930年生まれの作家・山田稔さんの最新文集が『こないだ』(編集工房ノア・2160円)。
少年のころから、従兄(いとこ)や姉と手紙のやりとりをした。書く習慣ができ、志賀直哉を読み、「小説とも随筆ともつかぬ散文」が好きになった。そういう著者が、懐かしい人や、読んだ本について書きながら、おのずと関心が向かうのは「文章」だ。
エイズ患者とボランティアのかかわりを描いたレベッカ・ブラウン『体の贈り物』(柴田元幸訳)にはすがすがしさを感じたという。各編の「冒頭の文の簡潔さ、身軽さ、動きのよさのリズムに乗るようにして『私』は病人たちの部屋に入って行く」。
「言ってしまえばごく普通の文章で、そこがいい」と、評した本もある。
哲学者の鶴見俊輔さんに本を送ると、肩の力がぬけているなどと、必ず褒める礼状が届いた。「ピッチャーが速球をほうって、ストライク!という感じがない」と書かれていた時には思わず笑ったという。(石田祐樹)=朝日新聞2018年8月4日掲載
編集部一押し!
-
新作映画、もっと楽しむ 映画「廃用身」主演・染谷将太さんインタビュー 信念か狂気か「画期的な医療」に突き進む医師 根津香菜子
-
-
人気漫画家インタビュー 「スキップとローファー」高松美咲さんインタビュー 原点は司馬遼太郎作品 メッキが剥がれた先にある人間関係を深く描く 加治佐志津
-
-
一穂ミチの日々漫画 【一穂ミチお薦め】友情を考える漫画特集 それぞれの人生、かけがえのない人間ドラマ 一穂ミチ
-
インタビュー 「すしを極める」すし作家・岡田大介さんインタビュー 釣った魚の握りずしから郷土寿司まで、“本当に旨い食べ方”は? 江澤香織
-
新作映画、もっと楽しむ 映画「未来」黒島結菜さん・北川景子さんインタビュー 湊かなえ原作、絶望に見いだす禁断の光 かわむらあみり
-
コラム 「海をわたる言葉 翻訳家ふたりの往復書簡」中江有里さん書評 出逢いの不思議が生んだもう一つの〝家族〟 PR by 集英社
-
コラム 「海をわたる言葉 翻訳家ふたりの往復書簡」中江有里さん書評 出逢いの不思議が生んだもう一つの〝家族〟 PR by 集英社
-
トピック 【プレゼント】柄谷行人さん最新作「私の謎 柄谷行人回想録」好書好日メルマガ読者10名様に PR by 講談社
-
インタビュー 平石さなぎさん「ギアをあげて、風を鳴らして」インタビュー 描いてわかった「シスターフッド小説」の魅力 PR by 集英社
-
インタビュー 江國香織さん「外の世界の話を聞かせて」インタビュー 頭の風通し良く、気持ちさっぱり自由になって PR by 集英社
-
インタビュー 【サイン入り本プレゼント】一木けいさん「嵐の中で踊れ」インタビュー 避難所で起きた再生の群像劇 PR by NHK出版
-
インタビュー 湊かなえさん「暁星」インタビュー 作家として「言葉」に向き合い、新たな扉開いた PR by 双葉社