1. HOME
  2. インタビュー
  3. 「歩くパワースポット」湘南乃風・SHOCK EYEさん 出会う人すべてが未来の自分の笑顔に繋がってる!

「歩くパワースポット」湘南乃風・SHOCK EYEさん 出会う人すべてが未来の自分の笑顔に繋がってる!

文:福アニー、写真:樋口涼

 いまから半年ほど前、なにげなくテレビ番組「行列のできる法律相談所」を観ていたら、女優の波瑠さんがいま一番会いたい人というのでレゲエグループ・湘南乃風のSHOCK EYEさんが出てきてびっくり。なんでも占い師のゲッターズ飯田さんから「歩くパワースポット」と呼ばれるほどの強運の持ち主で、彼の写真を携帯電話の待ち受け画像にするといいことがあると巷で話題になっているらしい。番組の締めに「運気アーップ!」と掛け声をかけるSHOCK EYEさんに合わせて、筆者もテレビ越しに「運気アーップ!」とひとりごちていたのだった。

 それから半年、初の著書となる『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』(講談社)を刊行したSHOCK EYEさんが目の前にいる不思議を思いつつ、取材はスタートした。自分の名前が「福」だと告げると、「めでたい名前ですね~!」と細やかな心遣いも。金色に輝く満月、スカイツリー、護国寺を背景にざっくばらんにお話を聞くという、まさにパワースポットだらけのひとときに。湘南乃風として、歩くパワースポットとして、自身のルーツや幼少期についても包み隠さずに熱い想いを語ってくれた。

大切な縁は気づいていないときからもう始まっている

――まずはご自身の体験を本にしようと思ったきっかけを教えてください。

 もともとミュージシャンで、湘南乃風というグループで15年以上活動しています。一方で、番組の企画でゲッターズ飯田さんに占ってもらったら「ものすごい強運の持ち主」「歩くパワースポット」と言われて、僕の写真を携帯の待ち受け画像にするといいことが起こるらしいという噂が広がっていったんです。それから自分なりに家に神棚を置いたり神社に行き出したり、日々の心がけから人に対する態度まで、もう一度自分を見つめ直して成長させてもらうきっかけにもなりました。

 そんな折にテレビに出て反響をいただくなかで、「歩くパワースポット」だけではない、湘南乃風としての自分や内面の人間性まで知ってもらいたい気持ちが出てきて。簡単にできる心のケアを自分の体験談を交えながらお伝えして、少しでも悩んでいる人のモヤモヤが減ってくれたらいいなと。本当の意味でのパワースポットになるための一歩という感じで、本を出させてもらいました。

――ゲッターズ飯田さんに「歩くパワースポット」と言われたことで、その言葉に追いつこうとご自身も高めていけたと。

 自分を高めるというよりは、「整える」というほうが合ってるかもしれません。「歩くパワースポット」と言われる前は、結構荒ぶってたんで(笑)。自分の想いや熱さや真っ直ぐさっていうのは変わってないんですけど、以前は思いついたらワッて言うタイプだったんで、メンバー同士でギスギスしちゃうこともあって。自信のなさもあったかもしれないし、わかってほしいって気持ちのエネルギーがすごく溢れ出ちゃって、空回りしてたんですよね。でもいまはガツガツした歩幅ではなくて、落ち着いて前に進めていく歩幅になりました。

――そもそも湘南乃風のイメージが強かったので、SHOCK EYEさんが占いを信じるというのが意外でした。

 僕は基本的に疑り深いし、占いも信じるタイプじゃないんですよ。当時のゲッターズ飯田さんはまだあまり知られてませんでしたし。でも、その占い結果は感覚的に信じたくなった。そのことで、自分がちょっと前に進めたり悩みが減ったりしたんです。それって湘南乃風を始めるときに似ていて。才能もなんにもないけど、メンバーのことが好きで一緒にいる時間が楽しかったから、彼らを信じてじゃあ行こうって。それに身をゆだねた自分がすべての起点になってるんです。成功の確証はないし約束もされてないけど、自分がいいなと思ったものや信じてみようと思ったものに賭けるときって、すごい清々しい気持ちになるじゃないですか。直感で決めたほうが絶対に後悔しないはず。

 誰にでも前に進む恐怖はあると思うけど、心からやりたいことや好きなことに夢中になってほしい。夢中になるためにはなにか信じられるもの、これだけがんばったんだから大丈夫でしょうっていう御守りみたいなものを一個持つと強いと思うんです。僕の歌やこの本の言葉や待ち受けがそうなってくれたら嬉しいし、もちろん自分自身を御守りにしてもいいと思うし。

――一期一会をないがしろにしない、そしてポジティブな気の持ちようが本当に大事なんだというのが読んでいて伝わってきました。

 湘南乃風のことや今回の本のことを思い返してみると、あのときの出会いがいまの自分に繋がってるんだって、すごくドラマチックに人生が見えてくるんですね。もちろんいまだから気づけてるだけで、あのときはなにがターニングポイントかなんてわからない。そう考えると、大切な縁っていうのは気づいていないときからもうすでに始まっている。出会う人すべてが未来の自分の笑顔に繋がってる縁だと感じたら、いまこの瞬間をもっと大事にできるんじゃないかなって。

 湘南乃風を始めた頃なんて、100人いたら99人がなにやってんのって言う感じでした。でもそんなこと気にせずに、目の前にいる仲間や周りの人たちが喜ぶことだけを一生懸命やってたら、ここまで来ていました。損得勘定でものを考えていたら動けなくなるから、とにかく楽しく丁寧に生きていこうって思います。

「そうだ感謝から始めてみよう」と思ってくれたら幸い

――全国の神社を参拝するようになってから、ご自身の変化ってありました?

 日本が好きになりました。自分の知らない日本がいっぱいあるんだなって。この前出雲大社に行った時に、ちょうど60年に一度の遷宮の時期だったので、宮司さんに遷宮にまつわるお話を聞かせてもらいました。本殿にある梁(はり)や大きな柱に使われている木はいまだに樹脂が出てくるくらい、呼吸をしていて生きていると。でも、それでもいつかは取り替えなければならないときが来る。そのときにはまた樹齢1000年くらいの木を切り出して、次の社(やしろ)の梁にしないといけない。常に木を絶やさないようにすぐそばの山に苗木を植えて、いまから育てているそうなんです。

 そうやって1000年規模で物事を考えて生きることと、本当に目先のことだけ考えて生きることと、全然違うと思うんですよね。神社って木も土も建物もそれこそ習慣にしても、自分よりはるかに長く生きてるものばかりに囲まれてるので、人生80年って一瞬だなって。そうするとちっちゃいことを気にするべきじゃない、次の世代や未来の日本のためにいま自分はなにを歌おうか、子どもになにを伝えようかって気持ちが出てくる。そういう感覚を神社に行くことで養ってる気がします。僕は本当にリアリストなので、そこに神様がいるとかなんかパワーが出てるとかいうよりは、神社でお祈りするなかで生まれてきた人々の想いや習慣を信じているのかもしれません。日本だけじゃなく世界のどこに行ってもお祈りがあるのは、それが間違いなく人間の体や心のために必要なものだからだと思うんですよね。

――お祈りもSHOCK EYEさんの待ち受けも、その人にとっては「自分自身と向き合うためのメディア」という意味では同じかもしれないですね。

 そう、「ツール」なんです。僕の待ち受けを見たら、「そうだ感謝から始めてみよう」なんて思ってくれたら幸いですよね。僕、「ぺイ・フォワード」って映画が好きで。ちょっと哀しい結末でしたけど、みんながハッピーでポジティブな感情や言葉をシェアしていくっていうのはすごくいいなと思いました。「ものすごい強運の持ち主」「歩くパワースポット」って言葉はゲッターズ飯田さんにいただいたものだから、それを独り占めにするんじゃなくて、今度は待ち受けという形で共有して。僕はそういう存在であり続けるために、研鑽を積んで努力しようと。自信のない自分だけどちゃんと自信を持っていけるように心を整えたり、期待に応えたりしなきゃって身が引き締まります。

――人生ある意味修行ですよね。著書の中でお気に入りの御守りやスポットを挙げていますが、とくに思い出深い場所を挙げるとするなら?

 やっぱり伊勢神宮との出会いは大きいですね(ここで御守りポーチを見せていただく)。御朱印は最近集め出して、御守りも伊勢神宮とか出雲大社とかオールスターみたいなものを入れてます。都内だったら明治神宮などの東京五社巡り、根津神社などの東京十社巡りから始めると回りやすいかも。全国にある八幡様もおすすめですよ。

――まずは気軽に行けるところから。それからSHOCK EYEさんのご先祖様が奈良の武士の家というのもびっくりしました。自分のなかに引き継がれていると感じるものはありますか?

 最近、いまやってることと自分のルーツが繋がったというか。神社好きになって、歴史や神話の本を読んでると、やっぱり奈良ってキーになる場所なんですよ。僕のご先祖様は大和高取藩の藩主で、いまでいう奈良のど真ん中を拠点としてたので、もしかしたらご先祖様が「お前はそういう役目だから広めろ」って言ってるのかもなって(笑)。家系図を調べていったら、大和神社の宮司もいましたし。

――湘南乃風っていかついイメージがあったので、SHOCK EYEさんが「歩くパワースポット」と言われて待ち受け画像として人気だと、しかもジャパニーズレゲエをやってるのにご先祖様が武士のお家だと知った時は驚きました。

 真逆ですよね。でもレゲエって「ラスタ」っていう自然回帰的な思想と結びつきが強いんですけど、それでいうと俺は日本のラスタになってきてるのかもなって(笑)。

何事もポジティブなエネルギーに変えて前進していく

――著書の中では幼少期のつらい経験も書かれていますよね。あえてさらけ出した理由は?

 幼少期や思春期の経験が一番の原動力になってるし、いまの自分の道しるべになってるから。いろんな場面で大人に苦い思いをさせられてきた自分が湘南乃風になったときに、初めて人に認めてもらえることの嬉しさや喜びを知ったんです。湘南乃風の言う「大人にはなりたくない」っていうのがすごいエネルギーだったし、うまくいかなくて悩んでる若者の話を聞いてあげられる大人になりたいってずっと思っていました。

 なりたくなかった大人に俺はいまなってないよな、子どもにとってどういう父親であるべきか、若いスタッフや応援してくれてるファンの人たちの前でどう振る舞うかという意識が日々の活動や音楽性にも関係してて、それは小さい頃の経験からくるものだったので、その話は出したかったんですよ。この本を読んだ人たちに僕の言葉を説得力を持って信じてほしかったし、それにはただいい言葉を並べても伝わらないだろうと思って、順風満帆で運よく生きてきたわけじゃないってところを思い切って書くことにしたんです。

――中学合格のときのエピソードも想像するだけでしんどいなと思いました。でもだからこそ反面教師ではないですが、周りの人たちに優しくできるのかなと。

 中学合格は初めての成功体験で、確かに親には褒められなかったけど、あのときがんばったから俺は受かったんだって自分で自分のこと褒めてあげたすごく大事な想い出ですね。だから僕の子どもがなにかを一生懸命やったときには、それが成就しようがしまいが褒めてあげようと思う。高校を退学させられたときも、1回の失敗でシャッターをおろすような大人には絶対なりたくないって思ったし、何度でもチャンスを与えてあげたい。当時の悔しさや虚しさはいまでも自分のエネルギーになってるけど、リベンジしたいわけではなくて、昔の自分のような若者に出会ったときにそっと手を差し伸べられるような懐が深い大人になりたいなって。

――「家族といえども自分に合った距離感でいいんだよ」と言われているようで、勇気づけられる人も多いと思います。いま改めてご家族に対しての想いで、なにか整理できたことはありますか?

 うん。あとはこの本を読んでもらって、どういう反応が返ってくるかなって(笑)。親子でも仲良くできない、和解できない、意見が合わないことって当たり前にありますよね。それぞれの家庭にはそれぞれの考え方があるし、どっちが正しくて正しくないかじゃないんです。でも、何事もポジティブなエネルギーに変えて前進していったほうがいいなとは思っています。

――あと、「根っからの愛情持ちじゃないから静観してる」というくだりが気になりました。愛の実力を鍛えて愛の偏差値を上げるにはどうすればいいでしょうか。

 愛情あるなと思う人の真似をする! たとえば「パン買ってきて」って言われて、僕は言われた通りパンしか買ってこないんですけど、愛情偏差値が高い人はパンに合いそうなコーヒーも買って来てくれるんですよ。そうしたら喜んでくれるかなって愛情を足していく。それを真似して、その習慣を自分に身につけるよう心掛けるんです。妻のような愛情偏差値が高い人を見ると、さすがだな、勝てないなって思います。

誰かを勇気づける武器をまたひとつ手に入れた

――「『歩くパワースポットとしての自分』と『ミュージシャンとしての自分』の間の調味料を探しているのかもしれない」と本にありましたが、その調味料は見つかりそうですか?

 見つかりました。この本自体が調味料だなと。「歩くパワースポット」と呼ばれて携帯の待ち受けにされる僕も、ミュージシャンとして歌っている僕も、人の背中を押して元気づけたり人を笑顔にしたりするという意味では同じなんですよね。今回この本を書かせてもらったことで、誰かを勇気づける武器をまたひとつ手に入れたような感覚になりました。

――湘南乃風は2018年で結成15周年を迎えましたね。これまでの歩みを振り返って、これからの人生で大切にしたいことを教えてください。

 「いま目の前にある縁を大切にしよう」ってことかな。もちろん未来について考えて、不安になる瞬間っていっぱいあるんです。でもその都度まわりの人たちに助けてもらったり楽しい時間を過ごさせてもらったりしているので、目の前にあるものを大切にしていくのが一番大事かなって思います。